ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

雑誌

「Number」No.809・810「甲子園 夢の再会 あの夏を語ろう。」

とても感動的なのは、桑田も、清原も、30年近く前のあの夏の、一回一回、一投一打を鮮明に憶えているということです。夏の甲子園での戦績は16勝1敗。今のこの二人にしか話せないドラマがあります。木内幸男 × 中村順司の名将対談も! かつて、仲間と一緒に白…

「Cut」No.308「庵野秀明、語る。― 巨神兵、エヴァンゲリオン、そして自分。」

少年・庵野秀明がウルトラマンに魅せられたのは「大人の本気」がそこにあったからだという。そして、50歳を超えた今、本気で誰かが守らなければなくなってしまう「特撮」という文化を後世に残すために彼は立ち上がった。私たちを熱狂させるものの根源にはい…

「BRUTUS」No.737 「木と花と草のこと。」

世界中から珍しい植物を輸入し、日本の植物を世界へ輸出する「プラントハンター」という仕事があることを初めて知りました。検疫をクリアするためには、すべての土を落とし、根を整理する必要があるのだそうです。そうまでさせる植物の計り知れない魅力がい…

Newsweek増刊「時代を刻んだ映画」

見方を変えれば景色は変わる。世界は私たちが思っているよりも広く、人間は私たちが思っているよりも深い。先入観を覆して価値観を揺るがすもの。私にとって映画は、思考を巡らせるための最高のヒントであり、欠かすことのできない糧。知れば知るほど夢中に…

「YUCARI」Vol.3「特集 古都」

季節ごとに替えられる京都の和菓子店「大極殿」の暖簾。合理性を追求した生活の中では、こうした暮らしのゆとりは生まれない。「しきたりを生活の一部として受け入れることは他者を思いやることだ」と大野木先生。文化が廃れるということは人々の気持ちから…

「SWITCH」No.268「桑田佳祐クロニクル」

走り続けている人が好きです。「田舎に引っ込んで壺を焼こうとか、小さなライブハウスで好きなロックを毎晩歌えればいいとか、そういうことを僕はまだ言っちゃいけないんですよ」という言葉にどれだけの人が救われるんだろう? 受け入れることができているか…

「レコード・コレクターズ」Vol.418「ローリング・ストーンズ・ベスト・ソングス100」

お馴染みのベロ・マークを目にするだけでレジに足を運んでしまいます。Muddy Waters との伝説のライブを収録したDVD、メンバー自身が監修してコメントした公式写真集も買わなきゃいけないし、バンド結成50周年の今年は、まだまだ出費がかさみそうです。今の気…

「COURRiER JAPON」Vol.93「こんなに不思議な「世界の宗教」」

腕にタトゥーの教祖とロックな聖歌。自分仕様にカスタマイズされた教義。ネットでコピペされる布教活動。いつの時代も世界を読み解くために欠かせないもの。宗教って一体なんなんだろう。13年後、世界で最もキリスト教徒の多い国は中国になるそうです♪( ´θ`…

「Discover Japan」Vol.23「ニッポン人はどこから来たの?」

最新のDNA研究によれば、遺伝子レベルで、日本人のルーツを20のグループに分類できるのだそうだ。その起源は、東南アジア、大陸中央部、北東アジア、そして、日本固有のもの。そんなことがわかってくると、国境というずーっと後に決めた線引きで、いがみ合い…

「Stuff」

すべて「私」という一人称で書かれた記事の力強さ。ヒトとモノとのリアルな物語が、眠っていた物欲をダイレクトに刺激する。編集者がいいと信じるものを何とか読者に伝えようと格闘すること。そこにある強く切実な思いが雑誌のエネルギーになることを忘れて…

「BRUTUS」No.735「沸騰! コミックヒーロー」

アメリカのヒーローたちは苦悩する。苦悩するから強いのだ。彼らは決して完璧ではなく、人間と同じ間違いを犯し、同じ悩みを抱えている。同時代を生きる私たちの希求を一身に背負い、そこから逃げ出さずに戦い続けるからこそ、彼らを応援したくなっちゃうん…

「Pen」No.317「ビートルズが聴こえてくる。」

小さな写真のキャプションにまで胸が高鳴るビートルズ特集。奥田​民生の「僕は誰のファンでもない、4人が組んだバンドが好きなん​だ」って、あああ、なんて名言! ジョンとポールとジョージとリンゴ。その4人が集まってロックを​奏でたこと。それこそ大きな…

「キネマ旬報」No.1614「わたしのゆくえ「ヘルタースケルター」」

「女は女に消費されている」という監督・蜷川美花の視点は鋭い。美しさに執着する女性たちをひたすら撮ってきたからこそのリアリティーがある。美しさは男性の欲望ではなく女性の嫉妬によって作られる。そして、嫉妬したが最後、キレイになれば満たされるい…

ナショナル ジオグラフィック「50グレイテスト フォトグラフ」

写真は雑誌の命である。とは思っていても、ついつい嫉妬しちゃうのは、どれだけ言葉を尽くしても、ビジュアルの圧倒的な雄弁さには敵わないからです。「我々が住むこの星への関心を喚起すること」を目的とした「ナショナル ジオグラフィック」の傑作写真選。…

Casa BRUTUS 特別編集「MUJI いちばん新しい、無印良品のこと。」

簡素を極めることで豪華さに負けない豊かさを育むことができる。海外で「禅」と言われる「MUJI」には、東山文化からの日本の伝統的な価値観が根付いている。人々の暮らしを、意識を、感覚を変えてきたプロダクトの強さは、どうやらその精神性に裏打ちされて…

「Pen」No.316「沖縄のカタチ」

礼拝所もご神体もない信仰の拠所「御嶽」のあまりの美しさに息を呑んだ。沖縄が教えてくれるのは、暮らしの根幹にあるものだけが、文化を生み、育み、伝えるということです。今、私たちがこの地に強く惹かれるのは日本から信仰や風習がどんどん失われている…

「BRUTUS」No.734「あたらしい仕事と、僕らの未来」

「仕事」そのものを再定義する「BRUTUS」の最新号。「ルーティンをただこなす」のではなく「新たな何かを生み出す」こと。新しい方法で、新しい経済を、新しい社会を作ること。すなわち、未来を作ることが私たちの「仕事」であることを実感します。私たちの…

「Pen」No.315「ルパン三世 全解明。」

ルパンを最初にアニメ化するための「企画書」は「70年代、いったい何が始まろうとしているのか」という数十ページにわたる「時代性の分析」から始まっているという。新しいアニメーションをつくり、時代を変えてやろうという気概。クリエーションの源を突き…

「Discover Japan」Vol.22「建築でめぐるニッポン観光」

フランク・ロイド・ライトは「貧富の別なく人間は豊かな住生活が保障されるべきである」という信念を一生涯をかけて実践したという。建築が面白いのは、そこに作り手である建築家の思いや考え、つまりは思想が表れているからだ。それは1300年以上前の法隆寺…

「YUCARI」Vol.2「特集 和菓子」

表紙にずらりと並べられた48個の和菓子。それらを手がけた東京「一炉庵」の店主・池田功さんは、立春や夏至など、1年を24等分した「24節気」ごとに15〜20種類の上生菓子を作るのだという。その数なんと年間400種類以上。「柿」ひとつとっても、「青柿」から…

「和樂」No.129「いける、愛でる「花」」

自然界の一木一草一花にこころを託す。「“花を愛でる”“花をいける”とは、花に宿る神と向き合い、自分の心の花を開かせること」なんだそうだ。花をいける。茶を入れる。香りをかぐ。そのすべてを「道」たらしめた日本人。精神の緊張によって暮らしの中に「美…

「Pen」No.313「花街の秘密。」

価値をお金で換算するというのは難しい。お金では得られないものが世の中にはたくさんあるからだ。金さえ払えば客として遇される時代に、客としてなるべく精進しなければならない花街の世界。「花街の粋だの艶だのは、店と客とが長い年月をかけて生み育てて…

「POPEYE」No.25 & No.37

2冊で800円。本屋の古本市で買った30年以上前の「POPEYE」に読み耽る夜。「現実というものに敏感であるためには、傷つきやすくならざるをえないんだ」というボブ・ディランも、「人間のヴィジョンを広げること。これが『スター・ウォーズ』の目的なんだ」と…

「MUSIC MAGAZINE」No.596「現在の小沢健二」

ベネズエラ、ボリビア、南アフリカ、パレスティナ、インド、ラオス。メディアとの接触を断ち、沈黙を続けていた13年間に、およそ安全とは言い難い国々を放浪していたという小沢健二。彼の音楽はもちろん、さまざまなかたちで発信される言葉や、行動にも、そ…

「考える人」No.40「東北 日本の「根っこ」」

農業や漁業。東北の人たちは、自然という、どうしようもない、防ぎようのないものと共に生きてきた。津軽弁でいう「ばがくせ」という言葉には「馬鹿らしい」でも「アホらしい」でもなく「不条理だ」という意味があるらしい。「津軽人はみんな実存主義者であ…

「Lightning」Vol.217「アメリカンカルチャーの教科書。」

ヴィンテージデニム、ワークブーツ、ミリタリーウェア、ハワイアンシャツ、ライダースジャケット、モダンファニチャー、カスタムバイク、アメリカントイ…。アメリカンカルチャーを愛してやまない人たちによって熱っぽく作られたおもちゃ箱のような創刊18周年…

「BRUTUS」No.730「西洋美術総まとめ。」

美術そのものが人間探求の一面を持っている以上、西洋美術の歴史をおさらいすると、世界の人々の価値観や意識のめまぐるしい変化を改めて実感します。それにしてもピカソというのはその傑物っぷりが群を抜いていますね。最晩年にいたるまで前進を止めなかっ…

「YUCARI」Vol.1「特集 桜」

新渡戸稲造は桜について「自然のおもむくままに、いつでもその生命を棄てる用意がある」という言葉を残しているそうだ。あせらず、あわてず、じっと力を蓄えて春を待つ。儚そうに見えますが実は生命力に溢れた樹木であるというのもまた新たな発見でした。誰…

「BRUTUS」No.729「大友克洋、再起動。」

大きさも、分厚さも、その装丁からしてただならぬ雰囲気を醸していた「AKIRA」ですが、何よりも、細部にまで描き抜かれた精緻な描写に度肝を抜かれた記憶があります。その圧倒的な画力について「呪術のような、力を込めたい。雲の線一本、建物の線一本引くに…

「GOETHE」No.74「闘う建築家の超仕事術・安藤忠雄」

高校卒業後に「4年間で勉強するものを1年間で読破しようと考え、朝9時から明け方の4時まで必死に教科書にかじりついた」という安藤忠雄。アルバイトで稼いだ全財産を投げ打ち、22歳で日本各地の、24歳で世界各国の名建築を浴びるように目にし、建築家として…