ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

写真

「SAPEURS THE GENTLEMEN OF BACONGO」ダニエーレ・タマーニ

サプール。略してサップ。月の平均収入が3万円のアフリカのコンゴで、そのほとんどを貯金し、ハイブランドの洋服に注ぎ込み、週末、街を闊歩する集団がいることを知ったのは、誰かが「いいね!」を押した facebook の記事だった。彼らが素敵なのは、身なりだ…

苗加和毅彦 写真展「still」

どう表わすかも大事だけれど、どう見えるかが大切なんだと思う。「日常当たり前にある『monoたち』」を、こんな風に、見て、捉えて、表現できるなんて、ほんとうに素敵すぎる。ギャラリーに向かう車中、ツマが3歳の息子に「世界はこんなにもきらきらキレイな…

「DON'T HATE WHAT YOU DON'T UNDERSTAND」

「THE PEOPLE by KISHIN 篠山紀信 写真力」篠山紀信

遅ればせながら篠山紀信展へ。なんというフットワークの軽さ! ジョン・レノン、三島由紀夫、美空ひばり、きんさんぎんさん、王貞治、ももいろクローバーZ、小沢一郎、吉永小百合、ミッキーマウス、草間彌生、壇蜜、坂東玉三郎、朝青龍、澤穂希などなど。「写…

「エリイはいつも気持ち悪い エリイ写真集 produced by Chim↑Pom」

タブーをものともしない過激なパフォーマンスで、現代社会に強烈なメッセージを発信し続けているChim↑Pomの紅一点エリイ。夜通し行われた彼女の結婚披露宴と、早朝の新宿で決行された「ウエディング・デモ」を切り取った800ページにもわたる写真集。なんの政…

「ROOTS」アンディ・チャオ

シンガポール生まれ、東京在住の写真家による、15年前の世界放浪の旅の写真を構成した作品集。アンディ・チャオは「まだ、携帯電話もソーシャルメディアも、デジタルカメラもなかった時代。世界との通信手段は、手にした一眼レフのカメラと絵はがきだけでし…

「南砺」広川泰士

いろんなところで「南砺」という地名を目にするようになった。そこには、四季を告げる自然があり、営みとしての信仰があり、誇るべき祭りがあり、受け継がれる手仕事や郷土の料理がある。本当の豊かさは日々の暮らしの中にある、という強く確かな気持ちが、…

「ピュリツァー賞 受賞写真 全記録」

巻頭に「過去を知り、未来を見よ」と掲げられたフォトジャーナリズムの作品集。こんな情報化社会にあってなお、今も昔も、私たちの知らない苦しみや哀しみや憎しみや怒りが、世界のいたるところに存在していることに愕然とします。意志を持った写真だけが「…

猫アート「シロとクロ」吉尾大輔

写真であって写真じゃない。そんな不思議な世界。猫への愛おしい気持ちがイメージにかたちを変えてキャンパスに広がる。創作とは「それまでなかったものをつくりだすこと」であり、そんな創作への欲求をちゃんと持っているカメラマンの吉尾さんがうらやまし…

「Le Temps Passe」福島健一

写真展で買ったフォトブックのあとがきに「写真を見ると、その時の感情や想いが蘇ります。その感情や想いがあった事に励まされ、また今日を、また明日を前を向いて進んでいける気がします」と前田加奈子さんは綴っています。被写体にそのように思われるフォ…

 「ジョン・レノン家族生活」西丸文也

Amazon にて中古で買った写真集。息子とソリ遊びをして、動物園に行って、プールで泳いで、ギターを弾いて、パーティーを開いて誕生日を祝う。そこにいるのは、誰もが知っているジョン・レノンでも、オノ・ヨーコでもなく、ごく普通のお父さんとお母さんです。…

「IRAN!IRAN!IRAN!」藤森祐治

藤森さんの解説によると「カシュガイ族の女性が生涯に織るというギャベの枚数は約50枚。それが手織りの世界」であるそうです。この写真集を見ていると「美しいものは美しいひとによって作られる」ということがよくわかります。写真もまた然り。撮るひとがそ…

「再起」宮嶋茂樹

ある雑誌のグラビアで「本誌を閉じよ、テレビを消せ。そして、東北に自分の足で立ち、自分の目でぜひ見ていただきたい」と彼は書いていた。そして、本書でも「何を撮っても目の前の現実を表現できない。何を撮ってもこの悲劇を伝えきれない。カメラマンにな…

「元気な時代、それは山口百恵です 31日間の現在写真論」篠山紀信

ジョン・レノンに三島由紀夫、ダライ・ラマ、ミッキーマウスにAKB48まで、その時代に寄り添って、面白いと感じたヒト・モノ・コトなら何でも撮り続けてきた篠山紀信さん。「なにせ僕、現役の写真家ですから」「写真の未来? 明るいに決まっている」なんてさらり…

「能登線憧景」湯浅啓

鶴来の萬歳楽本店で開催されている個展に足を運び、金沢のカメラマン・湯浅啓さんの写真集「能登線憧景」を買いました。廃止になった「能登線」と、あたたかでやさしい土地、そこで暮らす穏やかな人たちを撮った写真集。私にはどれもまるで手を合わせるように…

「じいちゃんさま」梅佳代

最初は笑いながら見ていましたが、どんどんどんどん泣けてきました。梅干し、きゅうり、かき氷、蚊取り線香、青空、すいか、縁側、こたつ、大晦日…。ありふれた家族の日常にこそ、二度と戻らない「しあわせ」が満ちていることを気付かせてくれます。「この本…

井出情児 写真・映像展「死ぬまで待てない」

「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」というのは早川義夫のアルバムですが、逆もまた真なりで、ロックとは、ひとつ間違えるとかっこ悪い、ギリギリのところで、とてつもなくかっこいいものだと信じています。そのギリギリを捉える、ロック・フォトの…

「ブタとおっちゃん」山地としてる

あるブログで知った元市役所職員の著者と養豚場を営むおっちゃんの10年にわたる記録。写真集は編集者としていつかは手がけたい仕事の一つですが、こんな生きるちからに溢れた写真集が理想です。

「Numero TOKYO」vol.46「ベッティナ・ランスが写し出す女性たちの肖像」

東京都写真美術館にてベッティナ・ランスの写真展が開催中。羨ましいので、彼女のHPにアクセスして鑑賞。「彼女の写真は人がすでに予感し推測し想像してはいたけれど、決して完全には把握していなかった何かに気付かせ、私たちに否定しようのない明らかな物を…