ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

雑誌

「Rolling Stone」No.70「甲本ヒロト 僕は僕がやるべきことをやる」

「どこかに向かって歩いていないし、山に登っているつもりもない。何かを成し遂げようとも思わない。何か大きなことを目指して、日々頑張っているわけじゃない」とヒロトは言う。その日、歩ける一歩を歩く。その積み重ねともいえる最新アルバム「YETI vs CRO…

「YUCARI」Vol.6「特集 江戸デザイン」

贅沢なもの、華美なものを厳しく禁じた、幕府による「奢侈禁止令」が、裏地や下着や小物など、見えないところにこだわってお洒落をする「裏勝り」というファッションスタイルを生んだ史実がおもしろい。どんな時代であれ、新しいものを生みだすのは、制約や…

「kotoba」Vol.10「昭和ですよ!」

昭和歌謡について。「基本的に“歌う”ことは、“訴ふ”という精神がないと、作品は生まれないし、“訴ふ”からこそ、その時代を反映するわけです」となかにし礼は語る。壁を打ち破ることなくして人の心を動かすものは作れないという精神。昭和の表現者は気概が違…

「美術手帖」No.979「円空」

一本の木を断ち割って、一材からすべてを作った円空。彼は「仏像を自分で彫り上げるというよりも、余分なところをそぎ落とすことで、木の中から仏を見つけ出していた」と言われる。仏像の表情に圧倒的に「笑顔」が多いというのもいいね! 和んじゃうなぁ。 …

「Discover Japan」Vol.24「人生に効く「武士道」入門。」

切腹とは「私の魂の宿るところを開いて、あなたにその様子を見せよう。それが汚れているか、清いかは、あなた自身で判断せよ」ということらしい。つまりは、罪を償い、過ちを詫びるだけでなく、武士としての名誉を守り、面目を保つための自主的な行為なんだ…

別冊「Lightning」Vol.127「モノにこだわる英国図鑑」

ひとつのものを長く使い続ける美学。華美で派手なものを好まない国民性。ディテールに生かされる職人の技。数々のマスターピースを生みだしてきた伝統。真のトラディショナルを感じさせる品格。英国! 英国!! 英国!!! やっぱり大好きです。 アメカジの…

「文藝春秋」2013年1月号「創刊90周年記念」

読み応え満点の創刊90周年記念号。司馬遼太郎、黒澤明、田中角栄、三島由紀夫、柳家小さん、棟方志功。長谷川町子、吉永小百合、森下洋子、越路吹雪。名物連載「日本の顔」にはさすがに錚々たる顔ぶれが登場している。男性はいずれも厳しく凛々しく、女性は…

「Number」No.818「心が震える99の言葉。」

アスリートの言葉には嘘がない。なぜなら、その生き様に裏打ちされているからだ。15歳で単身ブラジルに渡り、日本をW杯に導くために帰国。日本代表から外された後、クロアチア、J2の横浜FCでプレーし、賛否ありながら、今年はフットサルW杯にも出場。プロ29…

「ブラックジャック大解剖」

人生で15万枚もの原稿を書いた天才・手塚治虫。妻に残した最後の言葉が「仕事をさせてくれ」だったことはあまりに有名な話です。そんな彼が生涯を通じて描き続けた生命の尊厳。この「ブラックジャック」こそ生と死という永遠のテーマに真正面から挑んだ不朽…

「Meets Regional」No.295「レストランがない人生なんて!」

予約の段階でテンションMAX。襟付きのインナーにジャケットを羽織って、大切な人と楽しみながら、みっちり3〜4時間のフルコース。人生で大事なことは、何を食べるか、ではなく、どこで食べるか、である。そんな風に思わせてくれる至福の空間こそレストランな…

「BRUTUS」No.745「文芸ブルータス」

いつもの雑誌コーナーに見当たらず。本屋をぐるっと探して文芸誌コーナーで見つけた最新号。有川浩、伊坂幸太郎、西村賢太、絲山秋子、万城目学…。紙質も、デザインも、台割も、本気で店員さんが間違えた? と思うほどのなりきり文芸誌。とことん遊びに徹す…

「YUCARI」Vol.5「特集 日本酒」

春に植えられた苗は、夏に青々と育ち、秋には稲穂が実る。そして、寒さの厳しい冬に醸され、酒は造られる。一年を通したこの一つひとつの営みが、その土地の風土と、人々の暮らしに根差している。全国の蔵元は1400以上あるとか。それらはまさしく文化的な遺…

「Pen」No.526「男が惚れる、男たちの肖像。」

例えば、藤山寛美。母親からの「遊ばん芸人は花が無うなる」との言いつけを守り、遊びに遊んで作った借金は当時の額でなんと1億4千万。すべて酒と女と人のために借りた金だったとか。そして、彼の本当の「男気」は、その後、20年間休まずに舞台に立ち続け、…

「BRUTUS」No.744「Car Life」

知人から乗り継いだという1978年式のポルシェ。「暮しの手帖」編集長の松浦弥太郎さんは「走りながら、今、ポルシェが自分をほめてくれている、とわかる時がある」と書きます。車にはまったく詳しくありませんが、この感覚こそ、モノを愛するということなん…

文藝別冊「ナンシー関」〈増補新版〉

「「マイナーだからおもしろい」というテーゼがクセ者である。「マイナーでおもしろい」ものもあるが「マイナーでもつまらない」ものや「メジャーでもおもしろい」ものもある」という名言。ナンシー関には、ブレることのない、物事の本質を見抜く目があった…

「BRUTUS」No.743「女優」

綺麗な花には棘がある。巨匠ヒッチコックは「私たちの求める女のイメージは、真の淑女でありながら、寝室に入ったとたんに娼婦に変貌してしまうような女だ」という言葉を残している。スクリーンに投射される女優はそれだけで官能的な存在なのだ。今回の映画…

「Quick Japan」Vol.104「ダウンタウンをやっつけろ。」

デビュー30周年のダウンタウン。今でも「いつかこんなことがやりたい」と二人は口にするという。「頂点に立った天才的なアスリートが、基礎練習をずっとやってるようなもの」とは日本テレビ菅賢治プロデューサーの言葉。49歳のオッサン二人がお笑い界のトッ…

「MUSIC MAGAZINE」No.604「特集 小泉今日子」

テレビの深夜放送で見た映画「ボクの女に手を出すな」の衝撃が忘れられません。ときは80年代。まさしく胸キュンでした。あれから四半世紀。永遠の憧れってあるんですねぇ。キョンキョン、デビュー30周年おめでとう! 月日が流れてもあなたが好きです。ちなみ…

「Coyote」No.47「今、野坂昭如」

「何かっこつけてるんだ。たくさんのページでなくてもいいから、ペラ一枚から雑誌をはじめろ」と黒田征太郎さんに励まされつつ雑誌「Coyote」がまさかの復刊。特集「今、野坂昭如」は、昭和を生き抜いた孤高の表現者の、遺言とも、遺影ともとれる濃密な内容…

「デザインノート」No.45「デザインの巨匠たち」

前書きに「グラフィックデザインの巨匠たちの作品に共通することは、とてつもない伝達能力の高さだ」とある。確かに伝わらないデザインほど無力なものはない。そして、デザインによって伝達すべきは、ただの情報ではなく、その背後にある情感、そして、思想…

「YUCARI」Vol.4「特集 月」

十三夜の観月。銀閣寺を造営した足利義政は、満ちる手前の月こそ美しいとし、日本文化の粋として捉えたのではないか、と大森正夫教授。変化するものをよしとし、完成形をよしとしない「未生の美」を慈しむその感性。古の日本人の美意識にはいつもハッとさせ…

「BRUTUS」No.741「記念写真 記憶に刻む撮影術」

「僕の写真展の図録を知らない人が見たら、1人の写真家が撮ってるって思わないかもね」と篠山紀信さん。「芸術なんかより、よっぽどエロの方が上なんですよ」との名言も。50年の写真家生活を振り返る、国内の美術館での初個展「写真力 THE PEOPLE by KISHIN…

「時空旅人」Vol.10「大人が読みたい昔話」

年を重ねるに連れて民話や神話といったものにどんどん興味が湧いてきました。「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」のゴーギャンではありませんが、日本人の DNA の中に脈々と受け継がれてきたものにできるだけ触れたい…

「BRUTUS」No.740「センスのいい人。」

確かに。カート・コバーンのジャックパーセルも、スティーブ・ジョブズの501とニューバランスも、ジョーイ・ラモーンのライダースジャケットも、パブロ・ピカソのバスクシャツも、どれも本当にカッコいい。お洒落はセンスで決まり、センスは生き方で決まる。…

「Pen+」「大人のための藤子・F・不二雄」

「体温を感じさせるような人物を創っていきたい。そう思いながらまんがをかいているのです」という言葉にしびれた。作り手の思いは読み手に伝わる、ということに素直に感動する。もちろん、のび太の、ジャイアンの、スネ夫の、しずかちゃんの、そして、ドラ…

「Number PLUS」September 2012「LONDON 2012 Hero's Moment」

体操一本に懸けて長崎から上京した高校時代。内村航平は毎晩、両親の心配をよそに、柔道の帯でひざを縛って寝ていたという。こんなエピソードを知ると、あの熱狂の日々が、また新しい感動と共に思い出されます。そして、帰国からわずか2日で、毎日、欠かさず…

「ケトル」Vol.8「村上春樹が大好き!」

文学の役割は「答えを出すことではなく、根源的な問いを立てることだろうと思います」と平川克美さん。そして、簡単な結論や、手近な解答をすぐに求めたがる現代社会の中で「村上春樹は答えがない場所に絶えず私たちを引き戻してくれる」とも。彼の文学を母…

「Quick Japan」Vol.103「指原莉乃、博多へ。」

「何があってももう、『そんぐらいのことじゃ全然効かねーぜ!』ぐらいに思えるようになったかもしれない」という言葉にとても感動した。移籍を知らされた2時間後には腹を括り、13曲+αの歌詞と振付をわずか9日間で完璧にマスター。これぞプロフェッショナリ…

「POPEYE」No.785「City Boy in London」

なぜこうも Made in England に魅せられるのか? グレン・オブライエンの「イギリス人は人と適切な距離をとりながら接することを心得ている。イギリス人は物事は複雑で、すべてが一筋縄には行かないことも知っており、決して焦ることはない」という言葉にその…

「SWITCH」No.269「特集 細田守『おおかみこどもの雨と雪』はこの世界を祝福する」

「少しでも世界を肯定できる話」を毎日もがき苦しみながら作っている。日本を代表するアニメーション監督がそんな風に映画に携わっていることがなんだか嬉しい。結婚、出産、子育て。そして、美しい自然。あたり前の「日常」が胸に迫ってくるのはそこに世界…