Editor's Record

観たモノ、読んだモノ、聴いたモノ。好きなモノの記録。

「クライ・マッチョ」クリント・イーストウッド

かつて彼の映画に出演した俳優・渡辺謙イーストウッドの映画作りを「スタッフを信じて1日ずつカットを積み上げていく」と評した。監督50周年記念作品となる今作に垣間見えるのは、そんな丹精を込めた1カット1カットの丁寧さ、映画に対する絶えることのない、静かに燃えたぎる情熱だ。円熟味などという言葉が陳腐に思えるくらいイーストウッドは特別。90歳を超えた彼のロードムービーを観られることの幸せたるや!

映画『クライ・マッチョ』公式サイト

「竜とそばかすの姫」細田守

細田守監督は、デジタルも、アナログも、いずれも強く肯定しながら、同時に疑うことを忘れない。そして、彼の作品にいつも魅了されるのは、生きること、すなわち、命を、寸分の迷いもなく全肯定するからだ。中村佳穂をはじめとする天才たちの奇跡のコラボレーションによって生みだされた音楽と、圧倒的な映像世界との融合は、まさしく新境地。一体アニメーションはどこまで進化するんだろう。楽しみでもあり、怖ろしくさえある。

「竜とそばかすの姫」公式サイト

「いとみち」横浜聡子

おらんどみんな不確かだ。生きるってそういうことだべ。あの独特のなまりで語られたその台詞にほんとうに泣きそうになった。津軽三味線によって奏でられた民謡、ソウルミュージックが素晴らしく、人のつながりっていいなと、真っすぐシンプルに沁みてくる。いい言葉がいっぱいの、いい映画だった。

映画「いとみち」予告編 - YouTube

「キネマの神様」山田洋次

かつて、松竹大船撮影所の敷地内にあった「鎌倉シネマワールド」に何度か足を運んだ。当時、小津安二郎木下惠介、そして、大島渚山田洋次、それから、山田太一もここで映画を撮っていたのかと思うと、なにやら感慨深いものがあった。シネマではなくキネマ。日本映画の黄金期を支えたきらきらした青春がぎゅっと凝縮されている。

映画『キネマの神様』公式サイト|2022.2.2(水)Blu-ray&DVD発売!

「アナザーラウンド」トマス・ヴィンターベア

人生は甘くほろ苦い。酒はときに救いとなるが、酒で身を滅ぼすこともある。魂を解放することが、良いことなのか、悪いことなのか、それはわからない。けれども、魂を解放しなければ「生きる」ことの真髄に触れられないことだけは確かだ。かつて、ドグマ95を設立したデンマークの監督たちは、映画によって人生とは何かを探究する。ラストシーン。ダンサーとしてキャリアをスタートさせた、マッツ・ミケルセンの踊りは圧巻だった。

映画『アナザーラウンド』オフィシャルサイト