Editor's Record

観たモノ、読んだモノ、聴いたモノ。好きなモノの記録。

「星の子」大森立嗣

映画のすごさは「想像力」を広げてくれるところにある。胡散臭いと思っていたものが実は純粋だったり、純粋だと思っていたものが実は胡散臭かったり。新興宗教にどハマりする両親にも子供がいて、親は子を愛し、また、子は親を愛している。そんな当たり前の事実にハッとさせられ、胸が締めつけられる。胸を締めつけるのは、自分の中にあった偏見。そして、救いとなるのは、思いやる気持ち、やさしさだった。天才女優・芦田愛菜、ここにあり! その演技、存在感、ただただ圧巻だった。

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芦田愛菜主演、映画『星の子』公式サイト 先行デジタル配信中

「羊飼いと風船」ペマ・ツェテン

変わることがいいことなのか、それはわからない。けれども、世界中の人たちが、変わらねば、生きていけないのは事実だ。科学によって脅かされる信仰。中心にあるものが揺らぎ始めると、暮らしそのものも揺らぎ始める。青空に吸い込まれていく赤い風船。時代に翻弄される人間と何も変わらないチベットの美しい自然との対比が、なんだかとても物悲しい。

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映画『羊飼いと風船』オフィシャルサイト

 

「ブレスレス」ユッカペッカ・ヴァルケアパー

道徳や倫理、社会通念では許されなくても、それなしでは生きていけない人たち、赦される世界があると、ときに映画は教えてくれる。あるいは、文学もそうだ。これは、息もできない痛みを抱えた彷徨える魂が二つ、出会うべくして出会った純度の高いド・変態ラブストーリー。北欧がみんなほっこりしてるなんて思ったらホント痛い目をみる。

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映画『ブレスレス』公式サイト

「ホモ・サピエンスの涙」ロイ・アンダーソン

映画を観ていると「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」というチャップリンの言葉を何度も思い出す。哀しく奇妙でありながら、次第に愛おしくなるこの作品は、改めて、映画とはなにか、映画表現とはなにかを教えてくれる。全33シーンすべてがワンシーンワンカット。細部にまで計算し尽くされた映像詩にただただ酔いしれる。

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映画「ホモ・サピエンスの涙」オフィシャルサイト

 

「スペシャルズ!~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~」エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ

法律は必ずしも正しいものではない。それは、政府が見て見ぬふりをした、この映画が描いた実話が物語っている。居場所のない子供たちの居場所をつくろうとした彼らを突き動かしたものはなにか。根拠のない「なんとかする」が、とてつもなく心強く響いた。

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【公式】『スペシャルズ! ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~』/9/11(金)公開/本予告 - YouTube