擬人化焼肉漫画に夢中な腐女子、死にたいキャバ嬢、既婚のNo1ホスト、人が死ぬ話ばかりを書いている小説家、すべてを受け入れるBARの店主。誰もがみな、もがきながら、あがきながら、必死に生きている。歌舞伎町のままならない人たちの「生きざま」が、まっすぐに胸を打つ物語。
「ファンファーレ! ふたつの音」エマニュエル・クールコル
仲間と一緒に音を奏で、喜びも、悲しみも分かち合う。音楽が、それぞれの人生に寄り添い、そこに暮らしがある。これ以上に豊かなことはない。そこに音楽があれば、なんとかやっていける。それは本当のことだ。
「バード ここから羽ばたく」アンドレア・アーノルド
これまで観たこともないような映画は突然あらわれる。史実に基づいた物語ばかりが重宝される時代にあって、これほどまでにピュアなファンタジーが生まれるなんて。映画の新たな扉を開いた、アンドレア・アーノルドのこの奇跡のような寓話を、心の底から祝福したい。
「ザ・ザ・コルダのフェニキア計画」ウェス・アンダーソン
計算し尽くされたシンメトリーな映像美で観る者を圧倒するウェス・アンダーソンの映画は、もはや芸術の域に達している。世界を股にかける大富豪ザ・ザ・コルダと、修道服を身にまとう仏頂面の娘リーズル。そんなキャラ強めの親子に思わずほろりとさせられる瞬間もあったりなんかして。神は細部に宿る。その映画的贅沢を存分に堪能できる。
「でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男」三池崇史
暴力を振るう側と振るわれた側、虐めた側と虐められた側、差別した側と差別された側とでは、世界の見え方がまったく異なる。真実はあらゆる面から検証されるべきなのに、現代が恐ろしいのは、すべてが一面的に捉えられ、正義感に酔った大衆が扇動されてしまう点にある。正義ほど怪しいものはないというのに。