Editor's Record

観たモノ、読んだモノ、聴いたモノ。好きなモノの記録。

「君が世界のはじまり」ふくだももこ

あの頃、ブルーハーツを聴いていた頃の感覚と、同じような興奮と高揚を共有できるなんて、思ってもみなかった。けれど、2005年の映画「リンダ リンダ リンダ」は、その予想を見事に裏切った。そして、2020年。またしても脚本家・向井康介が、1991年生まれのふくだももこ監督と傑作を生みだした。気が狂いそうなほどやさしい歌が好きだ。永遠なのか、ほんとうか。僕らはまだまだブルーハーツの呪縛から逃れられない。

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映画『君が世界のはじまり』公式サイト

「マティアス&マキシム」グザヴィエ・ドラン

天才ドランの映画は、光や風だけでなく、俳優の仕草や視線までが神がかっている。その輝かしいキャリア史上、最も官能的といわれる本作には、言葉にはできない繊細な感情の機微が刻まれていた。その美しい一瞬一瞬を噛みしめることが、映画ファンにとってこの上ない幸せ、豊潤な体験となる。

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映画「マティアス&マキシム」公式サイト 2020年9/25公開

「Red」三島有紀子

人生に正解があるとするなら、自分で考え、自分で選び、自分で責任を持つ、ということだ。また、覚悟を決めた愛は本来、どんなかたちであれ、道徳や倫理を超え(必然的に報いを受けるものであるだけになお)、尊重されるものであってほしい。この誰もが狡く、切なく、やるせない恋愛映画が描くのは人間の性。そして、人間の性はこれほどまでに美しいものなのかと、どきどきと胸が高鳴った。

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http:// https://redmovie.jp/

 

「おもかげ」ロドリゴ・ソロゴイェン

これまでも映画は、耐えがたい悲しみからどう立ち直るかを、何度も繰り返し描いてきたけれど、こんなにも愛おしくて、せつない物語は初めてだ。愛を断ち切ることが愛であると気づくことで再生したエレナが、さよならだけの人生に希望の光を灯してくれる。

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映画『おもかげ』公式サイト|2021/2/17(水)先行デジタル配信開始&2021/3/3(水)DVD発売&レンタル開始

 

 

「ある船頭の話」オダギリ ジョー

柄本明橋爪功永瀬正敏浅野忠信蒼井優草笛光子。俳優だけではない。ワダエミにクリストファー・ドイル。長編初監督にして、目を疑うような豪華なキャストとスタッフが揃ったのは、オダギリ ジョーが、その長いキャリアの中で、いかに映画と真摯に向き合ってきたかの証拠でもある。時代が変わっても廃れることのない人間のほんとうの価値とはなにか。これはすごいな。ジャームッシュフェリーニ、黒澤を愛し、映画監督をずっと志していたシネフィルの長編デビュー作は、細部にこだわりが宿った信じられないほど美しい物語だった。

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2020年9/9(水) Blu-ray発売!映画『ある船頭の話』公式サイト