東京で知ったのは、いろんな人がいろんな風に生きている、ということだ。とくに夜の新宿では、いろんな人も、いろんな物も、いろんな事もみた。新宿歌舞伎町、ゴールデン街のバーで繰り広げられる人間模様は、どれもやるせなく、そして、とてつもなくせつない。中でも、落ちぶれたヤクザを演じた、北村有起哉が突出していた。ほんとうにいい俳優さんだ。
作り手の熱意こそが作品に魂を宿す。それは実写もアニメも同じだ。想像を超える志の高さと、決して諦めない執念が、誰もが知るあのキャラクター、あのストーリー、あの世界観を超越した、奇跡の映画を生みだした。湘北メンバーが集結するオープニングは鳥肌もの。ゾクゾクするとはまさにこのことだ。
昭和の銀座。金と欲望が渦巻く世界は、どこか非現実的で、そこにたむろする人々、ひとり一人の人生にドラマがみえる。銀座を牛耳るヤクザが経営するバーに響く、一癖も二癖もあるミュージシャンが奏でる「ゴッドファーザー愛のテーマ」。ジャズのように自由奔放、荒唐無稽で、隅々にまで色気が漂う映画だった。
ほとんどの場合、答えはもう決まっている。そして、多くの場合、みんな、気づかないふりをし、見て見ぬふりをし、問題を先延ばしにしながら生きている。理屈ではなく感情で動く人間の弱さや狡さをつまびらかにしながら、それでも生きていく一人の女性の物語。