ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「土を喰らう十二ヵ月」中江裕司

春はたけのこ、夏は梅ジュース、秋は茗荷ごはん、冬はふろふき大根。日本料理の真髄は、旬を食する、即ち、いまを味わい、いまを生きることにある。毎年、同じ季節に、同じ作業を繰り返し、同じものを食べる。それこそが、暮らすということ、そのものなのだ。沢田研二の所作の一つひとつ、松たか子の食べっぷりも素晴らしかったけれど、圧巻は、これが遺作となった奈良岡朋子宇野重吉大滝秀治から連なる「劇団民藝ここにあり!」の名演だった。

映画『土を喰らう十二ヵ月』|大ヒット上映中