幼い頃にスウェーデン人の父親と生き別れ、国籍のないまま、難民としてドイツへピアノ留学。世界的な音楽家たちから支持を受け、名声を掴みかけるものの、風邪をこじらせ聴力を失ってしまう。それでもなお、腐らず、諦めず、ピアノを弾き続けた彼女が奏でる音楽は、譜面通りでは再現できない、誰も真似ることのできない唯一無二のものだ。今でも1日4時間は練習し、捨てられた猫を育て、自分を捨てた父親と、決して誉めてくれなかった母親を愛する。彼女の音楽の美しさの秘密は、あまりに気高い暮らし方、純真で無垢な生き方にあった。ほぼノーカットの「ラ・カンパネラ」は圧巻。