早朝、福島のいわき駅から高速バスに乗り込み、東京へと向かう。駅のトイレで着替えを済ませ、渋谷の雑居ビルにある事務所へ。やがて、呼びだしがかかると、スタッフの運転する車でラブホテルへ移動し、デリヘル嬢として働く。週末が終わると彼女は、昼はパチンコ、夜は酒を飲みながら、津波で死んだ母の思い出話を何度も繰り返す父親の待つ仮設住宅へと帰っていく。この映画はそんな日々をやさしく肯定する映画だ。「何かが欠落したまま、決して満たされることのない日々の暮らし」の中に、やがて光は射し込んでくる、そう静かに願う、希望の映画だ。