ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「刺青・秘密」谷崎潤一郎

今さら説明するまでもない谷崎潤一郎の実質的な処女作「刺青」。その中の「すべて美しい者は強者であり、醜い者は弱者であった」という一節に出会うだけでも値がありました。「正しいか否か」ではなく「美しいか否か」を尊んだ明治の日本。谷崎がわずか24歳で本作を執筆したことを知るだけでも、いかにかつての日本人の美意識が高く、豊潤な価値観を持っていたかということが窺い知れます。加山又造による装丁も素晴らしいですね。


谷崎潤一郎 『刺青・秘密』 | 新潮社