ニコール・キッドマンの仕事の選び方はとても魅力的だ。女優にとって、ときに邪魔なものにもなりかねない「美しさ」や「華やかさ」をひょいと脱ぎ捨て、やむにやまれぬ絶望の淵で、それでも生きていく人間を演じたら、このひとの右にでるひとはいない。親と子という呪縛からの解放と自立。そして、素晴らしいキャスト。決して万人受けはしないだろうけど、私的には、いつまでも余韻の残るいい映画だった。
ニコール・キッドマンの仕事の選び方はとても魅力的だ。女優にとって、ときに邪魔なものにもなりかねない「美しさ」や「華やかさ」をひょいと脱ぎ捨て、やむにやまれぬ絶望の淵で、それでも生きていく人間を演じたら、このひとの右にでるひとはいない。親と子という呪縛からの解放と自立。そして、素晴らしいキャスト。決して万人受けはしないだろうけど、私的には、いつまでも余韻の残るいい映画だった。
どんなに仲睦まじい夫婦であったとしても、結局のところ、それぞれの孤独と向き合い、それを乗り越えねばならない過程があるということか(この映画を撮った後にこの二人が離婚したという事実がなんとも皮肉)。内面の表出。自己表現の極み。自分をさらけだすことを極限まで課したアンジェリーナ・ジョリーの鬼気迫る演技が痛々しくさえあった。表現者であり続けるということは、なんて凄まじいことなんだ。
母の海帰葬をするために集まった家族。三姉妹の兄が手を滑らせ、遺灰の入った壺を、海に落としてしまうシーンがとてもいい(結局、妹たちが見つけてくれるんだけど)。悲しみが癒されていくのも、家族がもう一度絆を深めるのも、ほんとうにささいなきっかけなんだよな。傑作「ショート・ターム」への助走ともいえる瑞々しさが全編に漂う、なんかいい映画。
映画『ヒップスター』公式サイト|2016.7.30(土)より カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2016@新宿シネマカリテにてプレミア公開!
原題は機長のニックネーム「Sully」。この未曾有の航空機事故の映画について、事件そのものではなく、機長の葛藤に焦点を当てたところに、さすが、イーストウッドのセンスと見識がある。抑制された演技と演出。これはひとりの人間の、尊厳と誇り、そして、誠実さを描いた物語。やるべきことをやる。仕事とは。プロとは。この映画にはその答えがすべて描かれている。