ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「DOPE/ドープ!!」リック・ファミュイワ

うわぁ、これはいいぞ! 1970年代のブラックスプロイテーションを、今に甦らせたら、きっとこんな感じ⁉︎ いや、これは現代の「ドゥ・ザ・ライト・シング」だ。90年代のHIPHOPをこよなく愛し、L.A.のスラム街でBMXを乗りこなす、3人のギークたちが最高にダサくて、カッコよくて。そして、ぜんぜん重くなく、むしろチープなのに、全編に、黒人の苦しみや哀しみ、ユーモアや、反骨精神が滲み出ていて。こんな映画を観ると、ファッションも、音楽も、その根底に「カルチャー」が流れてないと嘘だぜ、って思うのです。

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映画『DOPE/ドープ!!』オフィシャルサイト

「シング・ストリート 未来へのうた」ジョン・カーニー

他人にどう思われようが「自分にはこれがある」と思えるものに出会えることは何よりも幸せなことだ。これは、まわりが見えなくなるほど、何かに夢中になったことがある人なら、胸がキュンキュン締めつけられる映画だ。それにしても、80年代って、あんなにカッコよかったっけ? すべてがキラキラと眩しいのは、トシのせいなのか!? 甘酸っぱすぎて悶絶しちゃいそう。

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映画『シング・ストリート 未来へのうた』公式サイト

「家族の灯り」マノエル・ド・オリヴェイラ

観始めてからしばらくの間、なんのこっちゃわからず、つまらないなぁと思う映画ほど、いつまでも頭から離れない作品は多い。105歳のオリヴェイラ監督が描く、ほとんど画面が変わらない会話劇は、家族とはなにか、貧しさとはなにか、欺瞞とはなにか、人生とはなにか、ということを、ぼんやりと灯るランプの光の中で、静かに静かに問いかけてくる。

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家族の灯り | ポニーキャニオン

「団地」阪本順治

伝説の喜劇役者・藤山寛美の DNA を色濃く受け継ぐ天才・藤山直美が主演する映画が撮られたというだけで、それはもう事件だ。岸辺一徳大楠道代石橋蓮司との黄金のカルテットによって生みだされる可笑しみと哀しみは、日本映画界屈指の、というよりも、最高のクオリティーと言っていい。それに加えて SF というのだから、阪本順治という監督は、やっぱり尋常じゃない。これはちょっとすごい映画だ。

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映画『団地』公式サイト DVD & BD 好評発売中!

「好きにならずにいられない」ダーグル・カウリ

ほんとうの愛は見返りを求めない。どこに行っても場に馴染めず、どこか浮いている、おデブでオタクな43歳の独身おじさんに、まさかそんなことを教えられるなんて。まったくもって冴えなかった大男がどんどんカッコよく見えてくるのは彼が「恋」をするからだ。恋をすれば世界が一変する。それは決して大袈裟な話ではなく、そして、世界共通のことなのだ。

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映画『好きにならずにいられない』 公式サイト