ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「生きものの記録」黒澤明

黒澤明の第15作。大島渚が「鉄棒で頭を殴られたような衝撃を受けた」映画を、黒澤明が、しかも「七人の侍」の直後に撮ったというのが面白い。なるほどこれは超が付くほどの問題作。「水爆」を「原発」に置き換えると、今、すべての日本人が胸を抉られるような映画となる。不安を抱きながら臭いものに蓋をして生きることの奇妙さを痛烈に皮肉った、興業的には大失敗した傑作です。