ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「民俗のふるさと」宮本常一

国家が人々の暮らしを保障しようと試みたのはわずか100年ちょっと前のことです。それまで、生きるということはとても不安定なものであり、人々が安心して生きていくためには、国家という曖昧なものではなく、家族や親戚やムラなど、もっと身近で、もっと確かなものに頼る必要があったようです。ある意味、日本人は、今よりも格段にタフで、賢明で、自立もしていたんですね。もはや、国家が個人を守ってくれるなんて幻想にもならない時代に、本書が復刊された意義は実に大きいように感じます。


民俗のふるさと :宮本 常一|河出書房新社