ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「クロッシング」アントワーン・フークア

犯罪が良くないことは誰でも知っている。それでも犯罪がなくならないのは、正義とか、道義とか、良心といったものが、何人たりとも立ち入ることのできない一人ひとりの人間の心の尺度でしか量ることができないからだ。社会の病理というのは、結局のところ、個人個人の心の闇の集積にほかならない。「欲しいのは、許しでなく、救いだ」という主人公の叫びは、アメリカという国家そのものの叫びでもあった。


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