ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-」デイモン・カーダシス

残念ながら人間は、差別し、抑圧し、ときに迫害さえ厭わない生きものだ。そんな厳しい現実と闘うためには、LGBTであろうがなかろうが、自分の居場所を自分で探して獲得する必要がある。あなたを異常だと決めつける人間は、例えマジョリティーであったとしても、決して全員ではない。あなたの多様性を認め、受け入れる人や場所が必ずやあるはずなのだという、これは希望の映画だ。

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映画『サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-』2.22(金)新宿ピカデリー他にて、全国ロードショー!

「きらきら眼鏡」犬童一利

すごいなぁ。池脇千鶴は。どんな映画に出ていても、主役であっても、脇役であっても、押しつけがましくなく、すーっと感情移入させてくれる。哀しくても可笑しくて、可笑しくても哀しい、そんな幅をいつも感じさせてくれるホンモノの女優だ。『つむぐもの』の犬童一利監督は、映画を、丁寧に、丁寧に、まっすぐに撮る。衒いがまるでない。

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映画『きらきら眼鏡』公式HP

「来る」中島哲也

人間の弱さや狡さ、危うさに、するすると入り込んでくるもの。「憑かれる」ということを、映像によって具象化した中島哲也監督の野心作。岡田准一黒木華小松菜奈松たか子妻夫木聡など、主要キャストにからむ、脇を固める青木崇高柴田理恵、太賀らがまたいい感じ。何気なく演技しているようで、とてもすごいことをやっている。

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映画『来る』公式サイト

「おとなの恋は、まわり道」ヴィクター・レヴィン

フィッシュマンズの歌に、悪口ばかり言ってるから好きさ、という歌詞がある。価値観が合わないと辛いだけの悪態も、なんだかお互い楽しく感じてくると俄然、それは恋の予感となる。波長が合うというやつだ。キアヌ・リーブスとウィノナ・ライダー。いくつになっても無条件に大好きな、全編ほぼ二人だけが繰り広げる、皮肉、悪口、毒舌のオンパレード。会話劇の名作の誕生!

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ハピネットピクチャーズ - Happinet Pictures

「ジュリアン」グザヴィエ・ルグラン

子が親を殺し、親が子を殺す。どんなに酷い事件であったとしても、そこにいたるまでの過程がある。どこかで、父を、母を、子を、救済するポイントが必ずあるはずなのだ。緊張感の途切れることのない、この背筋が凍るようなサスペンスが教えてくれるのは、子供が生まれたからといって決して完璧にはなれないこと、親であっても不完全な人間なのだという当たり前の事実。そして、その事実こそが恐ろしく、大きな悲劇を生むということだ。

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映画『ジュリアン』公式HP|1/25(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開!