ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「MIFUNE:THE LAST SAMURAI」スティーヴン・オカザキ

デカイ。デカすぎる。映画の中のミフネは、スクリーンの画角に収まることなく、信じられない大きさで、私たちに迫ってくる。そのあまりの規格外の存在感に、ただただ圧倒されるばかりだ。思えば、黒澤明を世界のクロサワにしたのも、サムライを世界に知らしめたのも、すべてミフネのおかげであるといっていい。断言。好き嫌いの次元を超えて、三船敏郎こそ日本映画史上最高の俳優だ。その佇まい、立ち振る舞い、台詞まわし。それらすべてが超絶にカッコイイ。

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映画『MIFUNE: THE LAST SAMURAI』公式サイト

「ファースト・マン」デイミアン・チャゼル

前人未到。まだ誰も成し遂げていない未知なる領域へ足を踏み入れる人間というのは、まるでそこに引き寄せられる運命、というよりも、宿命によって導かれていく。史実を描く映画をみて思うのはいつもそんなことだ。携帯もなかった時代に「月に行ってみよう」と考える暴挙。それが国家の悲願となるなんて、改めて1960年代は、なんとロマンチックな時代なんだろうと思う。またしても、ライアン・ゴズリングの圧倒的な演技力。天才。

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映画『ファースト・マン』公式サイト 7.3[WED]Blu-ray&DVDリリース!

「ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス」ローナ・タッカー

ヴィヴィアン・ウエストウッドは独立している。世界数10カ国、100店舗以上を展開するブランドでありながら大企業の傘下には入らない。だからこそ、依存することはないし、何かに取りこまれることも、何かに属することもない。反キリスト、アナーキスト。そこには、宗教も、政治も入り込めない。クリエイティヴを守るということは、真に自由でいること、真に自由であることなのだ。

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映画「ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス」公式サイト 2018年12/28公開

 

 

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」ジョナサン・デイトン & ヴァレリー・ファリス

スポーツがドラマチックなのは、選手の戦っている敵が、目の前にいる相手ではないからだ。ある者は個人的な、ある者は社会的な、ある者は歴史的な、それぞれの深い事情を抱えながらコートやピッチの上に立っている。アメリカが自国の闇に気づきながらも、まだまだ未成熟であった1970年代を忠実に再現したスポーツ、否、人間ドラマの秀作。ボビー・リッグスに扮するスティーヴ・カレルが素晴らしかった。

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映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』オフィシャルサイト| 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント

「チワワちゃん」二宮健

「へルタースケルター」から「リバーズ・エッジ」ときて「チワワちゃん」。映画化3作目にして、岡崎京子のあの感覚を、そのエッセンスを、映像と音楽によって最も見事に表現した映画と出会った。高揚と陶酔と虚勢と倦怠と喪失。スマートフォンやインスタグラムが登場しても、原作が発表された1994年、あの頃となにも変わらない。キラキラと美しくも痛々しい青春群像。

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映画『チワワちゃん』公式サイト|6月12日DVD&Blu-ray発売!<デジタルセル&レンタル 同時リリース>