なにかを伝えようと真摯に向き合い表現されたものに絶対的な敬意を払いたい。涙を流し、叫んだ者にしか吐きだせないものが必ずあると、たいした根拠もなく、それでいて強く信じているけれど、キャリアも、名もなく、そこに集った若者たちによって綴られる映像、そして、物語の中に、その根拠となるものがたくさん散りばめられていた。表現ってすごい。どんどん新しいものが生まれていく。「数字や理屈ではなく目の輝きを信じたい」と考えた、松居大悟監督はしごくまっとうに正しい。
なにかを伝えようと真摯に向き合い表現されたものに絶対的な敬意を払いたい。涙を流し、叫んだ者にしか吐きだせないものが必ずあると、たいした根拠もなく、それでいて強く信じているけれど、キャリアも、名もなく、そこに集った若者たちによって綴られる映像、そして、物語の中に、その根拠となるものがたくさん散りばめられていた。表現ってすごい。どんどん新しいものが生まれていく。「数字や理屈ではなく目の輝きを信じたい」と考えた、松居大悟監督はしごくまっとうに正しい。
私たちが頭に思い描くことのできるアフリカはその広い世界のほんの一部だ。夜な夜な酔っ払いがバーに集い、修理したばかりの冷蔵庫が壊れ、息子が交通事故で重傷を負い、病院でスリにお金を奪われる。絶望の淵から彼女を救うことができるのは音楽。鮮烈なグルーヴと魂の叫びが幸福とは何かを教えてくれた。
無知から恐れが生まれ、恐れから偏見が生まれ、偏見から差別が生まれる。その負のループを抜け出すために必要なのは、伝える、ということなんだろうけど、こんな映画を観ると、関心のない人間に伝える、ということの難しさを、改めて痛感してしまう。過去だろうが、現在だろうが、サイレント・マジョリティならぬサイレント・マイノリティの声を拾い、世に知らしめる。映画はこれからもそのような役割を強く担うものであってほしい。
ゲイリー・オールドマンの名演も、ウィンストン・チャーチルという人物の偉業も、さすがに素晴らしかったけど、英国の歴史を描く映画を観ていつも思うのは、英国王室の格式の高さと、それを重んじる国王の気高さだ。公平にして、好悪に偏らず、喜怒を慎み、惑溺しない。大いなる権力には責任が伴うということをまざまざとみせつけられる。
映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』オフィシャルサイト