レニ・リーフェンシュタール監督の「民族の祭典」と並んで、「東京オリンピック」で、その記録を、壮大な芸術へと昇華させた市川崑監督による伝説のドキュメンタリー。コピーにある「日本で一番美しいもの」を浮かび上がらせる対象への迫り方はさすが。同作に収録された、今はもう絶対に起こりえない、中京商対明石中の球史に残る延長25回のドラマ(しかも、なんと24回まで0対0)は見もの!
「うつくしいひと/うつくしいひとサバ?」行定勲
何度か書いたことがあるけれど、震災を描く、ということはほんとうに難しい。なぜなら、怒りであれ、悲しみであれ、被災した人たちの、ひとり一人の思いに応えることなど、到底できるはずがないからだ。それでも、なのだ。熊本で生まれ、熊本で育った監督が、俳優たちが、熊本のために撮った熊本の映画。「それでも、熊本で生きていく」という、複雑な感情がごちゃまぜになった、溢れる思いに胸が締めつけられる。