ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「銀齢の果て」筒井康隆

選ばれし地域の70歳以上の老人たちが、社会を守るため、互いに殺し合わねばならない「老人相互処刑制度」。いかにも筒井康隆らしい、ブラックで、ユーモアに溢れた語り口ながら、結局のところ、自ら進んで死を選んだ老人の最期が、最も美しく、最も人間らしいというところが、とても切なかった。蓋をされているものは臭わない。文学にしろ、映画にしろ、誰もが口にしないこと、できないことを「あえて露わにする」表現者の存在というのは、極めて貴重であり須要なことだ。

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筒井康隆 『銀齢の果て』 | 新潮社