ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「光のほうへ」トマス・ヴィンターベア

アルコール依存、ドラッグ中毒、幼児虐待、育児放棄、パラフィリア…。福祉国家と言われるデンマークにも、不条理な境遇に生まれ、負のスパイラルに陥り、絶望の果てに暮らす人たちはたくさんいる。そんな彼らの魂を救ってくれるのは「自分よりさらに小さく弱きものを守ろうとする慈しみ」だけであるというメッセージ。そこには「人間の魂を救ってくれるのは、福祉でも、医療でもない」といった強烈なアイロニーも込められています。デンマーク映画の快進撃、とまりませんねぇ。傑作です。


光のほうへ