ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「MINAMATA ―ミナマタ―」アンドリュー・レヴィタス

恥ずかしながら水俣病の認定問題が今なお続いていることを初めて知った。2021年7月の段階で、認定を申請した2万2229人のうち、わずか1790人(8%)しか認定されていないという事実も。そのような認識はいつも海外の映画によってもたらされる。それが、私の無知によるものなのか、ジャーナリズムの問題なのか、それとも、また別の問題が横たわっているのか、この国の仕組みについて、よくよく考えてみなければならない。人が人を動かすために必要なのは唯一「敬意」だった。

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映画『MINAMATA―ミナマター』公式サイト

「靴ひも」ヤコブ・ゴールドヴァッサー

好きなモノやコトにのめり込み、いつでもどこでも自分の気持ちに正直で、大切なひとをとことん思いやる。そんな風に生きられたなら、と思わずにいられない。それだけ、純粋で、ひたむきで、素敵だった。発達障害のある息子と父親の物語でありながら、これは、とても普遍的な親子の物語でもあった。

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映画『靴ひも』 公式サイト

「1秒先の彼女」チェン・ユーシュン

日本公開は1997年。傑作「熱帯魚」を観て以来、この25年間、わずか3本の作品しか日本公開されていないけど、ずっとチェン・ユーシュン監督のファンだ。いや、熱狂的なファンだ。詩的でファンタジック、また、オリジナリティに溢れ、そして、なによりも美しい。これぞ、チェン・ユーシュン! という、あまりに独創的でロマンチックなラブストーリーに酔いしれる。それにしても、主演のリー・ペイユーがチャーミングの極み。大ファンになった。

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映画『1秒先の彼女』オフィシャルサイト

「男はつらいよ 寅次郎頑張れ!」山田洋次

寅さんはもちろん、おいちゃん、おばちゃん、さくらに博まで、とらやの人たちは、人が好いにもほどがある。自宅の2階を爆破されて、それでも平然としているって、ちょっと笑ってしまった。よく平和な時代というけど、あまりに平和すぎる。恋も、愛も、すべてがほのぼのしている。寅さん20作目、昭和52年の日本。

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第20作 男はつらいよ 寅次郎頑張れ!|松竹映画『男はつらいよ』公式サイト

「ある人質 生還までの398日」ニールス・アルデン・オプレヴ

今、現在、世界で起きていることを、できるだけ正確に、そして、誠実に伝えるということはとても大切なことだ。この映画を信じることができるのは、ジャーナリズムなどという胡散臭いものではなく、当事者、つまりは、内からの視点が一貫して貫かれているからだ。人間はどこまで醜く、悍ましくなれるのか。気高くいられるのか。これはフィクション。同じ地球上で実際に起きた、そして、今も起きている物語だ。

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映画『ある人質 生還までの398日』公式サイト