グザヴィエ・ドランと同時代を生きていることを映画の神様に感謝している。ドランは絶望を描きながら、そこに差し込む光を忘れない。孤独を描きながら、愛の美しさを喚起する。ナタリー・ポートマンに震え、キャシー・ベイツに慄き、スーザン・サランドンに絶句せよ。嗚呼、これが映画だ。
グザヴィエ・ドランと同時代を生きていることを映画の神様に感謝している。ドランは絶望を描きながら、そこに差し込む光を忘れない。孤独を描きながら、愛の美しさを喚起する。ナタリー・ポートマンに震え、キャシー・ベイツに慄き、スーザン・サランドンに絶句せよ。嗚呼、これが映画だ。
時代が変われば人間も変わる。それでも、変わらない、変われない情によって翻弄される人々を描く。ジャ・ジャンクーがチェン・カイコーの「黄色い大地」に影響され、映画を志したことを知り、深い感慨を覚える。第五世代から第六世代へ。こんなにも壮大なラブストーリーを描ける国はやっぱり中国しかない。戻れない。帰れない。が、人生は続く。
秘密を共有する。それは家族が本当の家族になるための儀式だ。その秘密は、ときにひとを悲しませ、喜ばせ、また、怒らせたりもする。良くも悪くもそんな風に気持ちを搔き乱すのは家族だけだ。あのひとのあの料理をもう食べることができない。ここちの良い切なさがひたひたと沁みてくるいい映画だった。
「すべての情報はプロパガンダである」ことを忘れてはならない。イーストウッドの映画にはいつもハッとさせられるけれど(彼の映画はすべて遺言のようだ)、本作は誰もが情報を発信し、メディアを持ちうる時代の「警句」ともいえる作品だった。決して他人の言葉を鵜呑みにしてはならない。自らの眼で見て、耳で聞き、手で触れ、心で感じることだけが真実なのだと胸に刻みつける。
映画『リチャード・ジュエル』オフィシャルサイト 5.20ブルーレイ&DVD発売 /レンタル同時開始 4.15デジタル先行配信開始