「いつもその人のことで頭がいっぱいよ。何かこう胸の中が柔らかーくなるような気持ちでさ」「その人のためなら何でもしてやろう。命だって惜しくない」と恋について力説する寅さん。無論、滑稽だけれど、なんだかじんわり沁みてくるのは、あまりに清らかで、まっすぐなロマンチズムが溢れているからだ。まさかのまさか、史上屈指の人気マドンナ・お千代坊(八千草薫)を寅さんがフッてしまうシリーズ第10作目。結ばれぬ恋。いいね。
「いつもその人のことで頭がいっぱいよ。何かこう胸の中が柔らかーくなるような気持ちでさ」「その人のためなら何でもしてやろう。命だって惜しくない」と恋について力説する寅さん。無論、滑稽だけれど、なんだかじんわり沁みてくるのは、あまりに清らかで、まっすぐなロマンチズムが溢れているからだ。まさかのまさか、史上屈指の人気マドンナ・お千代坊(八千草薫)を寅さんがフッてしまうシリーズ第10作目。結ばれぬ恋。いいね。
子供の命を守ろうとする母親とはこんなにも凄まじいものなのか。薬物依存から抜けられない息子から、あらゆるリスクを排除しようと奔走する母親は、まるで外敵から本能的に子を守る野生動物のようだ。毎年、着実にキャリアを積み重ねるジュリア・ロバーツの迫真の演技はもちろん、純真で危うい息子ベン役のルーカス・ヘッジズの天才は特筆に値する。絶対的な愛ほど切ないものはない。
映画はこれまでも、名曲が生まれる数々の瞬間を描いてきたけれど、この作品の「ユア・ソング」は屈指の素晴らしさ。そのメロディの美しさはまさしく魔法のようだった。あまりに繊細だったがゆえに、奇跡のように美しい曲が生まれ、そのことが一層、エルトン・ジョン自身を傷つけていく。天才だから狂人となるのか、狂人だから天才となるのか。アーティストの人生はいつもそのことを考えさせる。
ホアキン・フェニックスとジョン・C・ライリーが組んだ段階で、ただならぬ傑作となることは決まっている。これまで観たどんな西部劇よりも血の通った、生々しく、どこか温かな映画だった。なにが幸せなのかと迷ったときは「私が何よりも幸せだと思う瞬間は、はるか西部の荒野で、十分な薪を焦がす火と過ごす時間だ。私は座って、私は脚を組んで座って、ぬくもりを楽しみ、青い煙が上るのを見つめる。どんな贅沢品も、この自由な時には代えがたいものがある」という、この映画の中にある滋味深い台詞の一節を思い出そう。