例えば、格差が広がれば広がるほど、倫理や道徳は失われ、人間は果てしなく堕落していくということは、奴隷制などが証明している。そして、不条理にも自由を奪われ、搾取され、抑圧される側にまわったとき、唯一尊厳を守ることができるのは、誰かの命令ではなく、自らの意思で行動するということのみだ。そのことを80分にぎゅっと凝縮したような密度の濃い映画だった。
例えば、格差が広がれば広がるほど、倫理や道徳は失われ、人間は果てしなく堕落していくということは、奴隷制などが証明している。そして、不条理にも自由を奪われ、搾取され、抑圧される側にまわったとき、唯一尊厳を守ることができるのは、誰かの命令ではなく、自らの意思で行動するということのみだ。そのことを80分にぎゅっと凝縮したような密度の濃い映画だった。
見ることよりも、触れること、感じることが愛なのだということを、寓話の中に込めた、どこかミステリアスなラブストーリー。透明人間として生まれ育った少年と盲目の少女。世界から断絶された二人に、まるで、アダムとイヴが林檎を齧ったかのように芽生える感情、そして衝動が、恐ろしいほどに美しく官能的だった。
これだけぶっ飛んだ映画を撮られたら、アッパレというほかない。妄想につぐ妄想の中に、エロとグロ、現実と虚構、愛と憎しみが、ぐちゃぐちゃに混ぜ込まれた、欲望渦巻くL.A.のシルバーレイクで繰り広げられる、今まで見たこともないネオノワール・サスペンス。ついてこれない者は容赦なく置いていく。カルトを超えたカルト。撮りたいものを撮りたいように撮る、その潔さがサイコー。