戦場。極限の緊張状態の中では、例え味方同士であったとしても、理想と現実、本音と建て前、あるいは、善と悪、清濁をあわせ呑み、飲み込まなければ決して生き延びることはできない。ほんの些細な出来事に凝縮される戦争のすべて。戦闘シーンはワンシーンもないけれど、これはまぎれもなく、私たちの知らない戦闘地域のリアルを伝えてくれる戦争映画だ。
戦場。極限の緊張状態の中では、例え味方同士であったとしても、理想と現実、本音と建て前、あるいは、善と悪、清濁をあわせ呑み、飲み込まなければ決して生き延びることはできない。ほんの些細な出来事に凝縮される戦争のすべて。戦闘シーンはワンシーンもないけれど、これはまぎれもなく、私たちの知らない戦闘地域のリアルを伝えてくれる戦争映画だ。
夏石鈴子(鈴木マキコ)さんの文体の清々しさたるや! 心の中で思っていることを露骨に書きつつも、決して下品にならないのは、彼女の生き方そのものにきっと品があるからだ。働きながら子を育て、働き、さらにはうだつのあがらない夫の世話をする。そんな女性に男が敵うはずなどないのだ。
この本には「簡単に成し遂げられることはなにひとつ書かれていません」と北山耕平は書く。なんでもスピーディーに、便利に、簡単に。インスタントでコンビニエント。効率化が強く求められている時代の中で「簡単に成し遂げられない」ことにこそ価値は生まれ、そこに最も大切なことがあるように思えてならない。彼が影響を受けたネイティブ・ピープルの教えはどれも「問い」からして壮大なもの、深く、何度も、自分の内なる声で反芻しなければならないものばかりだ。