佐野さんは「私は金で母を捨てた」と書く。「愛してなかったのだ」とも。それは母に対する謝罪であり、また、自分に対する弁解でもあり、なんだか、とても胸が締めつけられた。嘘のない言葉は、強く、激しく、そして、あまりにも無垢だ。書くことで、果たして彼女は母を赦し、何よりも、自らを赦すことができたのだろうか。憎悪は愛情の裏返しでもある。これは本当に素晴らしいエッセイだと思う。
佐野さんは「私は金で母を捨てた」と書く。「愛してなかったのだ」とも。それは母に対する謝罪であり、また、自分に対する弁解でもあり、なんだか、とても胸が締めつけられた。嘘のない言葉は、強く、激しく、そして、あまりにも無垢だ。書くことで、果たして彼女は母を赦し、何よりも、自らを赦すことができたのだろうか。憎悪は愛情の裏返しでもある。これは本当に素晴らしいエッセイだと思う。
尽きることのない欲望と嫉妬。ファッション業界に渦巻く、美しさに対する女同士の狂気を、道徳や倫理のリミッターを外して描き切る、カンヌで賛否両論を巻き起こした衝撃のダーク・ファンタジー。映画や小説は、ときに、人間はどこまで狂えるのか、という作品を提示する。
映画『ネオン・デーモン』公式サイト|2017年1月13日(金)全国順次ロードショー
35年振りの続編「ブレードランナー2049」の監督として注目を集めるドゥニ・ヴィルヌーヴが2009年に撮った作品。女性ばかりを狙い、犠牲者14人、負傷者14人を出した、モントリオール理工科大学での虐殺事件を、できるだけ台詞を排し、モノクロームで、77分にギュッと凝縮した映画には、尋常ならざる緊張感がみなぎっている。映像によって語られる力強い物語。それを一瞬たりとも見逃してはならない。
Happinet Pictures - ハピネットピクチャーズ
理想をいえば、どんな宗教、どんな思想、どんな価値観を持っていても、他者への敬意を忘れず、お互いに認め合うことのできる、寛容な世界であって欲しい。しかし、たとえ世界が不寛容であったとしても、すぐ身近にいる人たち、家族への愛さえ失わなければ、何人たりとも、しあわせを侵されることはない。人間にとって大切なこと、忘れてはならないこと、この映画にはそのすべてがある。
いい映画には余白がある。その余白に、私たちは、精一杯の想像力を働かせる。つまりは、描きすぎず、語りすぎない。そのほうがはるかに豊かな映画体験になるということをこの監督は知っている。アメリカ北西部モンタナの田舎町。代わり映えのない日常の中で起こった、4人の女性たちの感情の揺れ動きを、静かに、細やかに描いた秀作。そして、人生はつづく。
ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択 | ソニー・ピクチャーズ - DVD & ブルーレイディスク(Blu-ray Disc)