ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「エリザのために」クリスティアン・ムンジウ

いい映画はわかりやすい善悪を描かない。その代わり、私たちの内面に、じわじわじわじわ問いかけてくる。オマエハフセイヲハタライタコトハナイノカと。例え、ツテやコネ、賄賂が横行する社会であっても、それを社会のせいにし、自らも手に染めるかどうかは、無論、個人の判断による。しかしながら、大抵の場合、私たちは弱く、そして、愚かだ。「政治を軽蔑するものは軽蔑すべき政治しか持つことができない」というトーマス・マンの言葉を苦々しく思い出した。

f:id:love1109:20170623010012j:plain 

映画『エリザのために』公式サイト