Editor's Record

観たモノ、読んだモノ、聴いたモノ。好きなモノの記録。

「君の名前で僕を呼んで」ルカ・グァダニーノ

ポール・トーマス・アンダーソンが、ペドロ・アルモドバルが、グザヴィエ・ドランが絶賛したのもよくわかる、恐ろしいほどに耽美で、切なく、まばゆい映画だった。思春期の青年が抱く強い欲望と、抑えきることのできない欲動。あるひと夏の体験が奇跡のように美しい北イタリアの避暑地で描かれる。「痛みを葬るな。感じた喜びも忘れずに」は胸に刻むべき台詞。悲しみも、苦しみも、人生を彩る感情であることを教えてくれる豊潤な映画だった。

f:id:love1109:20181018013116j:plain 

映画『君の名前で僕を呼んで』 | 4/27(金)TOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ他全国ロードショー!

「あしたは最高のはじまり」ユーゴ・ジェラン

未来がどうなるかなんて誰にもわからない。だからこそ、今を懸命に生きる必要があり、現在が積み重なった後に未来があるということを、わかってはいるけれど、ついつい忘れてしまいがちだ。とにかく今を生きること、そして、私たちのこだわりが、実は些細で、取るに足りないことであることを、やさしく教えてくれる映画。これは泣けちゃったなぁ。

f:id:love1109:20181017011141j:plain 

映画「あしたは最高のはじまり」公式サイト 2017年9月9日(土)公開

 

「ナチュラルウーマン」セバスティアン・レリオ

なにをもって「ナチュラル」とし、なにをもって「アンナチュラル」とするのか。それを決めるのは、他者でも、世間でもなく、自分であるということを、自身もトランスジェンダーである女優ダニエラ・ヴェガが教えてくれた。そして、ほんとうの美しさには強さが秘められているということも。もう一つ。エンディングで歌われるアリア「オンブラ・マイ・フ」が強烈に胸を打つ。

f:id:love1109:20181013005236j:plain 

映画「ナチュラルウーマン」公式サイト 2018年2.24公開

「銀齢の果て」筒井康隆

選ばれし地域の70歳以上の老人たちが、社会を守るため、互いに殺し合わねばならない「老人相互処刑制度」。いかにも筒井康隆らしい、ブラックで、ユーモアに溢れた語り口ながら、結局のところ、自ら進んで死を選んだ老人の最期が、最も美しく、最も人間らしいというところが、とても切なかった。蓋をされているものは臭わない。文学にしろ、映画にしろ、誰もが口にしないこと、できないことを「あえて露わにする」表現者の存在というのは、極めて貴重であり須要なことだ。

f:id:love1109:20181012014450j:plain

筒井康隆 『銀齢の果て』 | 新潮社

「レディ・プレイヤー1」スティーブン・スピルバーグ

忘れることなかれ。スピルバーグこそが世界を熱狂させた史上最初の映画オタクなのだ。近未来の仮想現実の世界の中で、メカゴジラガンダムが戦い、キングコングが街を破壊し、デロリアンや金田バイク(AKIRA)が疾走する。自らが血沸き肉躍る世界を描くことで、僕らをワクワク、ドキドキさせた神様が、渾身の映画愛を込めて放った会心の一撃。前作「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」も素晴らしかったけれど、今作は「これぞスピルバーグ!」を叫ばずにはいられない真骨頂。老いてはますます壮なるべし、とはこのことだ。

f:id:love1109:20181010012223j:plain 

映画『レディ・プレイヤー1』ブルーレイ&DVDリリース