Editor's Record

観たモノ、読んだモノ、聴いたモノ。好きなモノの記録。

「愛しのアイリーン」吉田恵輔

過剰な愛情、過剰な憎悪、過剰な欲望・・・。それらすべてをむきだしに、ただ必死に生きているだけなのに、こんなにも切なくて、哀しいだなんて。覚悟を決めてリミッターをはずした吉田恵輔監督のその圧倒的な熱量にひれ伏せっぱなしの137分。そして、何といっても安田顕、そして、木野花! 日本のどこにでもありそうな田舎で起きる、純度120%の、愛とセックス、人間の慟哭が渾然一体となった物語。大、大、大傑作。

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映画『愛しのアイリーン』公式サイト

 

 

「晩年の子供」山田詠美

「心を痛めることも、喜びをわかち合うことも、予期しない時に体験してしまう」ことを知った、幼き日の山田詠美の、瑞瑞しい感性によって綴られた短編集。そのナイフのように鋭く、砂のように脆く、泡沫のように儚い、小さくつたない感性による「感情の揺れ」を言葉にしたなら、こんな小説になるのだ。生と死、刹那と永遠。すごいな。その言葉、その文体、その世界の美しさに、ただただ圧倒される。

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『晩年の子供』(山田 詠美):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部

「ウイスキーと2人の花嫁」ギリーズ・マッキノン

嗚呼、憧れのスコットランドツイードのスーツに、タータンチェックのキルトに、格子柄のディアストーカーハットに、ハグパイプ。ファッションはもちろん、暮らしの隅々に息づくトラディショナルな美しさ。お酒が尊いのは、そこで暮らす人たちにとっての「生活の糧」であり、「命の水」であり、人生そのものであるからだ。なにゆえスコッチに魅せられるのか。なるほど納得。この映画の中にその答えがたくさんあった。

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映画「ウイスキーと2人の花嫁」オフィシャルサイト

「それから」ホン・サンス

信じられないほどの洗練。幾人かの男女がただ会話をするだけなのに、そこに人生のペーソスがすべて凝縮され、その狡さや愚かしさまでもが愛おしく感じられてくる韓国映画。ホン・サンスという天才。韓国のエリック・ロメールはどえらい映画を撮る。

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ホン・サンス監督最新作『それから』公式サイト|2018年6月9日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

「サバ―ビコン 仮面を被った街」ジョージ・クルーニー

「なるべく事実を知らせておくほうがサスペンスを高める」とヒッチコックは言った。サスペンスの神様にオマージュを捧げるようなこの映画には、練り込んだプロットと細部への作り込みがあった。黄金時代と呼ばれた50Sのアメリカの虚栄。マット・デイモンとジュリアン・ムーアが出演するとなればそのクオリティーは約束されたようなもの。ジョージ・クルーニーはいい意味で仕事を遊んでいる。

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映画『サバービコン 仮面を被った街』