Editor's Record

観たモノ、読んだモノ、聴いたモノ。好きなモノの記録。

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」ジョナサン・デイトン & ヴァレリー・ファリス

スポーツがドラマチックなのは、選手の戦っている敵が、目の前にいる相手ではないからだ。ある者は個人的な、ある者は社会的な、ある者は歴史的な、それぞれの深い事情を抱えながらコートやピッチの上に立っている。アメリカが自国の闇に気づきながらも、まだまだ未成熟であった1970年代を忠実に再現したスポーツ、否、人間ドラマの秀作。ボビー・リッグスに扮するスティーヴ・カレルが素晴らしかった。

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映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』オフィシャルサイト| 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント

「チワワちゃん」二宮健

「へルタースケルター」から「リバーズ・エッジ」ときて「チワワちゃん」。映画化3作目にして、岡崎京子のあの感覚を、そのエッセンスを、映像と音楽によって最も見事に表現した映画と出会った。高揚と陶酔と虚勢と倦怠と喪失。スマートフォンやインスタグラムが登場しても、原作が発表された1994年、あの頃となにも変わらない。キラキラと美しくも痛々しい青春群像。

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映画『チワワちゃん』公式サイト|6月12日DVD&Blu-ray発売!<デジタルセル&レンタル 同時リリース>

「君が君で君だ」松居大悟

狂気の沙汰。完全にイッてしまっている。こんなに狂った映画を、しかも、オリジナル脚本で撮るなんて誰だ? と思ったら、松居大悟監督だというので妙に納得する。例え、多くの人たちが理解できずとも、わずかでも共鳴してくれる人がいるならば、その人のためにこそ映画を撮ろうとする監督がやっぱり好きだ。「愛するということ」を、ここまで真面目に、真剣に、突き詰めて突き詰めて表現した映画をほかに知らない。愛とは狂気で、狂気とは愛だと、言ってしまおう。

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映画「君が君で君だ」オフィシャルサイト

TAKAYUKI YAMADA DOCUMENTARY「No Pain , No Gain」牧有太

山田孝之は、ずっと考えていた。ずっと動いていた。ずっとニヤニヤしていた。ずっと企んでいた。ずっともがいていた。ずっと泣いていた。受動から能動。動かされる側から、動かす側に変わったとき、人生は180°ガラリと変わり、突然、強い光を放ちながら輝き始めた。1日24時間365日では到底間に合わないスピードで、愚直に、ただひたすら走り続ける30代の青春映画! 山田孝之の涙はとても美しい。

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https://twitter.com/yamadaD_NPNG

「家へ帰ろう」パブロ・ソラルス

思えば祖父も戦争を語らなかった。ごく稀に、酔っぱらった勢いで口にはしたものの、それでもこちらが核心に迫ると、途端に口を噤んだ。百聞は一見にしかず。惨劇を目の当たりにした当事者たちの声なき声を現代に甦らせたロードムービー。戦争を終わらせたのは国家ではなく、誰にも語られぬ一人ひとりの戦後、一人ひとりの終戦があったのだと、今、改めて思い知らされる。

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映画「家へ帰ろう」公式サイト 2018年12月公開