Editor's Record

観たモノ、読んだモノ、聴いたモノ。好きなモノの記録。

「ラ・ラ・ランド」デイミアン・チャゼル

今さらの「ラ・ラ・ランド」。いやー面白かった! エンターテイメントへの限りない憧れと愛情。ドキドキとワクワク、そして、ちょっぴりの切なさが、きらきら散りばめられた魔法。わずか1本のフィルムでエマ・ストーンの美しさは永遠となった。こんな映画を観ると、ミュージカルを生んだアメリカという国が、ほんとうに偉大に思えてくる。胸、高鳴りっぱなし!

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映画『ラ・ラ・ランド』公式サイト

 

 

「ヒトラーの忘れもの」マーチン・サントフリート

人の痛みをリアルに想像することでしか憎悪の連鎖を断ち切ることはできない、というシンプルで力強いメッセージ。第二次世界大戦後、ナチス・ドイツがデンマークに埋めた200万個以上の地雷を除去した多くは、20歳に満たないドイツの少年兵たちであり、その半数近くが死亡もしくは重傷を負ったという史実。目の前で少年が死んでいく。世界には誰かが伝えようと強く思わなければ知りえない隠蔽された残酷な歴史がまだまだ沢山ある。

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映画『ヒトラーの忘れもの』公式サイト – シネスイッチ銀座他にて絶賛公開中!

 

「狼」新藤兼人

新藤兼人による1955年の作品。貧困が人間をどのように破壊していくのかを緻密に描いたエンターテイメント。それにしても、今や社会派としか紹介されない監督がこんなにも第一級の娯楽作品をインディペンデントで撮った「豊かさ」が、かつての日本映画にあったことが信じられない。そして、戦争の本当の悲劇は、戦争が終わってなお、罪のない普通の人たちの一人ひとりの人生を踏み躙り、破滅させることなのだと改めて痛感する。

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「僕と世界の方程式」モーガン・マシューズ

いまいちメジャー感はないけれど、サリー・ホーキンスはとても素晴らしい女優の一人だ。愛情表現が不器用で、事故で亡くなった父親に引け目があり、自閉症ぎみで数学にしか興味を示さない息子に相手にされずとも、大きな、無償の愛を注ぎ続ける母親。終盤、その息子に「恋」について、一生懸命、自分の言葉で伝えようとする彼女の演技に強く胸を打たれた。大事なのは、器用かどうかではなく、そこに愛があるかどうかなのだ。

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映画「僕と世界の方程式」公式サイト

 

「人間を守る読書」四方田犬彦

大学時代の恩師によるブックガイド。書物を読むことは「他人の声に耳を傾けるという行為」であり「人々がお互いに不寛容になってきている状況だからこそ、あえて書物を読まなければならない」との主張にお変わりないなーと思う。そして「何かを人に告げ知らせようという意志、または情熱が書物をつくっている」とも。インターネットとの決定的な違いをそんな風に表現する一節になんだかグッとくる。やっぱアナログだなー。情報ではなく声に耳を傾ける。本を読もう。

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文春新書『人間を守る読書』四方田犬彦 | 新書 - 文藝春秋BOOKS