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Editor's Record

観たモノ、読んだモノ、聴いたモノ。好きなモノの記録。

「ある戦争」トビアス・リンホルム

家族と離ればなれ。それだけで、どんな大義を並べたところで、戦争を正統化することはできない。英雄であろうが、犯罪者であろうが、一生消えることのない心の傷。生きて帰るも、地獄。もう決して元には戻れない。自ら戦場に出向き、命をかけて守り、戦った者ほど、深く傷つき、傷つけられるという不条理が徐々に露わになっていく。さすがのデンマーク映画

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映画『ある戦争』公式サイト 10月8日(土)公開 | トップページ

 

 

「お父さんと伊藤さん」タナダユキ

上野樹里も、もちろん、リリー・フランキーもいいけれど、これは藤竜也の背中をみる映画だ。大袈裟にいえば、「生きる」の志村喬だったり、「東京物語」の笠智衆だったり。父親はいつも背中で語ってきたけれど、この映画の藤竜也の背中にも、それまで歩んできた「お父さん」の人生のすべてが滲みでている。何気ない会話と、その「間」にあらわれる、哀しさや優しさ、愛しみ。それらが、じんじんじんじん沁みてくる。いい映画だあ。

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映画『お父さんと伊藤さん』公式サイト

「グッバイ、サマー」ミシェル・ゴンドリー

子供といえるほど純粋無垢ではなく、大人といえるほどズル賢くもない。人生でもっとも特別な“14歳”の夏に、起こるべくして起こる、恋と、友情と、冒険の物語。天才ミシェル・ゴンドリーの自伝的な作品というだけでボルテージは最高潮。友達が一人いれば、その夏は永遠となる。何度も、何度も、拳を突き上げたくなるような、そんな青春映画だった。

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ミシェル・ゴンドリー最新作『グッバイ、サマー』公式サイト|9月10日(土)公開

 

 

 

 

「走れ、絶望に追いつかれない速さで」中川龍太郎

忘れられないシーンがいくつもある。どんなに青臭いといわれようがこんな映画が好きだ。人生の断片、最も輝かしい刹那を、映像によって永遠に刻みつけるもの、それこそが映画であると強く信じている。富山の海が、こんなにも悲しく、美しく、優しかったなんて。太賀、すごすぎる。「愛の小さな歴史」よりさらに飛躍した中川龍太郎監督は、この先、一体どこまでいくんだろう。心の震えがおさまらない。

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走れ、絶望に追いつかれない速さで - Tokyo New Cinema Inc. | ヒトを豊かにする映画

 

「神様の思し召し」エドアルド・ファルコーネ

目に見えるものしか信じない外科医と目に見えないものをこそ信じる神父。価値観のまったく異なる二人の関係に起こる変化を描いたその根底には、人間はきっと分かり合えるはずだ、という願いにも似た思いが込められている。笑うだけ笑ったあとに残る深く温かな余韻。イタリアはときに信じられないほど上質なコメディ映画を生みだす。うん。これはとてもいい映画だ。

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映画『神様の思し召し』公式サイト