果たして、「ザ・マスター」以上の映画に出会えるのかと思っていたけれど、怪物ホアキン・フェニックス、ここに極まれり。心・技・体、そのすべてにおいて凌駕していた。ここまでくると、決して大袈裟な話ではなく、もはや神の領域。語るべき言葉さえも見つからない。あの笑い、あの肉体、あの狂気のダンスを、一生忘れることはないだろう。兄リヴァー・フェニックスの言葉を口にしたアカデミー賞の受賞コメントも本当に感動的だった。社会の理不尽と鬱屈の化身。デ・ニーロを超えることで、アーサーはあのトラヴィスと同じく伝説となった。