世界には、ほんの一握り、いわゆる一般的な映画とはまったく異なる次元で、神々しいほどに美しく、観たあとに只茫然とするしかない映画を撮る天才がいる。例えば、レオス・カラックスやポール・トーマス・アンダーソン、あるいは、グザヴィエ・ドランのように。もはや、何がホントで、何が嘘かもわからない時代の中で、ずっと胸にしまっていた秘密を打ち明ける、死に憑りつかれた85歳の祖父と13歳の孫娘の会話とやり取りにこそ、なにか「確かなもの」が描かれていたように思えてならない。タイトルにある「ハッピーエンド」は、ミヒャエル・ハネケ監督による皮肉なのか、本音なのか。その答えは、私たちの想像力に委ねられている。