ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「絶筆」野坂昭如

脳梗塞で倒れてからも口述筆記で続けられた12年に及ぶ日記やエッセイから編纂。野坂昭如らしく、ふてぶてしく、洒脱に、ユーモアを加えて時代を斬ってはいるけれど、戦争と、そのときに体験した餓えについては、冷静さを保つことのできない鬼気迫る思いが溢れ出ている。「言っておきたい。いざとなったら、金じゃない。食いもののある国が生き残るのだ。よその国など誰が助けてくれるか」。死の前日に記されたこの言葉の意味はとてつもなく重い。

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野坂昭如 『絶筆』 | 新潮社