「センチメンタルな旅・冬の旅」をいつ買ったかのか忘れたけれど、パラパラとページをめくり、すぐレジに向かったことはよく憶えている。その大本。自費でわずか1000部しか刷られなかった、幻の処女作の未公開コンタクトプリント18枚を全カット見られるだなんて! 「私の愛であり、写真家決心」だと書いた、その創作の軌跡に、この上なく興奮した。それは写真というよりも、1カット1カットの連なりが、ほんとうに「私小説」だった。
SWITCH Vol.33 No.2 荒木経惟のたのしい写真術 ホンマタカシのアラーキー・ワークショップ13講座 SWITCH PUBLISHING(スイッチ・パブリッシング)