ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「醜聞」黒澤明

黒澤明の第10作。戦後わずか5年。民主化の進む日本で、自由を履き違えたマスコミによる言論の暴力を、いち早く危惧し、そのメッセージを自らの作品に込めた感覚の鋭さはさすが。後の傑作「生きる」にもつながる、弱くて脆い人間の性に迫った名優・志村喬の演技も必見。ちなみに弁護士・蛭田乙吉は、生前、黒澤映画の常連であった彼が最も愛した役柄です。