世界で起こっていることを私たちは知らない。メディアが真実を伝えるとは限らない。よくぞ映倫がこの映画をそのままDVDにしてくれたと思う。街のそこかしこに転がる遺体がまるでゴミのように回収される様は戦争の悲惨さをリアルに伝える。イスラム国に洗脳された子供たちが「自爆要因」として使われる残酷さが私たちの目をようやく覚まさせる。「戦争に勝者はいない。どちらも敗者だ」と、世界中のいたる場所から、私たちは大きな声で叫ばなければならない。
寅さん21作目。44年前の日本。変わり果てたようにも見えるし、何も変わってないようにも見える。無くなってしまったものも多いけれど、悲喜こもごも、悩んで、進んで、また、悩んで、人間のありようは昔のままだ。それがなんとなく救いにも思えるけれど、今から44年後の日本はどうだろうか。
ボーイミーツガール。男が女に出会うと1本の映画はできる。一切の無駄を排除したモノクロームの映像を彩る音楽とダンス。西へ、東へ、別れと再会、愛憎を繰り返すドラマティックな展開。衝動がすべて。ヌーヴェルバーグの精神を正統に継承した珠玉のラブストーリー。オサレ。
貧しさはモラルを奪い、人間をどこまでも卑しめる。街はスラム化し、薬物が蔓延し、警察は汚職にまみれている。それがフィリピンのマニラの現実だ。善も悪もなく生きる。ただ生きる。綺麗事が許されない世界には、想像を絶する強さと、美しさがあった。