Editor's Record

観たモノ、読んだモノ、聴いたモノ。好きなモノの記録。

「サンダーロード」ジム・カミングス

わかる。人生は思い通りにいかない。大声をあげて叫ぶか、泣きわめくかだけの違いで、みんな同じような感情を抱えながら生きている。そして、大抵の場合、気持ちも理解してもらえない。その不器用さと純粋さがやるせなく、もどかしく、胸を打たれた。母の葬儀に踊りを捧げようとした「優しさ」がじわりじわりと沁みてくる。

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映画「THUNDER ROAD」オフィシャルサイト

「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」山田洋次

寅さん18作目。寅さんは無自覚なのがいい。無自覚だから打算がなく、打算がないから人の胸を打つ。自分では誰かに何かをしているわけでもないけれど、それが誰かの支えになり、誰かの救いになるというのはとても感動的なことだ。

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第18作 男はつらいよ 寅次郎純情詩集|松竹映画『男はつらいよ』公式サイト| 松竹株式会社

「アメリカン・ユートピア」スパイク・リー

リズムがあり、メロディがあり、グルーヴがある。身体を駆使してつくられる音楽をエンターテイメントに昇華し、観客の前に届けられたとき、思いもよらぬ、興奮や熱狂、そして、高揚が生まれる。コロナ禍に現われた実に知的でプリミティブでポジティブなライブ映画。これぞアメリカン・ユートピア。素晴らしかった。

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映画『アメリカン・ユートピア』公式サイト

「ミッドナイトスワン」内田英治

誰にも頼ることができず、誰にも頼られることがない。ほんとうの孤独の先にある、苦しみも、悲しみも、息苦しさも、想像することは難しいけれど、その美しさ、かけがえのなさはわかる。誰もが頼り、頼られることのできる、やさしい世界であってほしいと願わずにはいられない。

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映画『ミッドナイトスワン』公式サイト|上映中

「すばらしき世界」西川美和

傑作であることはわかっていた。例えば、是枝裕和やケン・ローチ、ミヒャエル・ハネケ、グザヴィエ・ドラン。撮った段階ですごい映画であることは決まりきっていて、襟を正して作品と向き合わなければならない監督がいるけれど、西川美和監督もそんな一人だ。誰にも届かない小さき声に耳を澄まし、世界から断絶された弱き者のために、ありったけの大きな声で叫ぶ。嗚呼、それが映画なんだと、胸を締めつけられた。忘れられない台詞、表情、仕草、シーンがたくさんある。

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映画『すばらしき世界』オフィシャルサイト|大ヒット上映中