正義は恐ろしい。誰かにとっての正義は、誰かにとっての悪になりうることを、絶対に忘れてはならない。そして、主義や信条、思想が異なったとしても、人と人は手を取り合えるということも。巨匠ダルデンヌ兄弟のカメラは、加担することなく、ただそこに「在り」続ける。そこに映し出されるのは人間の真実だ。
正義は恐ろしい。誰かにとっての正義は、誰かにとっての悪になりうることを、絶対に忘れてはならない。そして、主義や信条、思想が異なったとしても、人と人は手を取り合えるということも。巨匠ダルデンヌ兄弟のカメラは、加担することなく、ただそこに「在り」続ける。そこに映し出されるのは人間の真実だ。
こういう映画は言葉にならない。言葉にできない。悲しみに寄り添うなんておこがましい。耐えがたい絶望を、その小さな身体で受け止める少女を、ただ茫然と見つめるしかできない。ドキュメンタリーではないが、フィクションでもない、そんな映画体験。ひとりでも多くの人たちの目に触れることを願わずにはいられない。
罪のない者だけが石を投げよ。とイエスは言った。たまたま通りすがって罪を目にしたような当事者以外の人間が、血相を変えて赤の他人を断罪し、暴言を吐き捨てるネット時代にあって、いろいろ考えさせられる映画だった。罪は罰せられ、その一方で、赦されもする。さすが、奇想天外な傑作「スイス・アーミー・マン」を生んだダニエル・シャイナート監督。「人間って計り知れないですね」の台詞がこの映画のすべて。素晴らしいコメディはじわじわ大切なことを感じさせてくれる。
シリーズ最高傑作との呼び声も高い15作目。寅さんとリリーはほんとうによく似ている。けんかっ早くて、意地っ張りで、それでいて、やさしすぎる。お互いのことをわかりすぎるというのはせつない。そして、やっぱり「メロン騒動」は何度観てもサイコー。平和すぎて泣きそうになる。