結局はどれだけ曝けだせるかということなんだ。石井裕也監督の映画をみていると、これだけ純粋に映画と向き合い、世界と向き合い、表現をするということがとっても尊いことに思えてくる。悪意に満ちている世界の中で、それでも世界を全肯定する強さ。わからないことがあるからこの世界は素晴らしい。名言。
赦すこと、受け入れることこそが希望なのだと、映画は繰り返し繰り返し描くけれど、簡単に赦し、受け入れるほど人間は強くない。それでも、ふとしたきかっけで、弱さは強さに変わることを、実在した車椅子の風刺漫画家が教えてくれる。ガス・ヴァン・サントは、またしても、繊細で、複雑で、やさしい映画を撮った。
「ドゥ・ザ・ライト・シング」(即ち、正しいことをしようの意)は言うまでもなく、「ゲット・オン・ザ・バス」も忘れがたい映画だ。黒人差別を描きながらも、シリアスに陥ることなく、あくまでもユーモラス、かつファンキーに、そしてオシャレに、抜群のエンターテイメントに仕上げるスパイク・リーの真骨頂。エンドロールに流れる、黒人霊歌をアレンジした盟友プリンスの未発表曲「Mary Don't You Weep」がまたハマりすぎ。40年近く映画を撮り続けてきた黒人監督の「本気」がエグイ!