ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「春の雪 豊饒の海(一)」三島由紀夫

自死を遂げる直前に、三島由紀夫が何を書こうとしたのか、ふと気になり手にとった一冊。「侯爵家の嫡男と伯爵家の令嬢との命を賭けた禁断の恋の物語」はまるで古典文学。あの川端康成をして「私は奇蹟に打たれたやうに感動し、驚喜した」と言わしめた天才。彼の日本語の表現の豊かさ、美しさに、ただただ驚愕する。こんな優美な作品を読んでしまうと、日本の美意識はほんとうに退化しているといわざるを得ない。ただ、あまりにグッタリしたので、第二巻の「奔馬」になかなか手が伸びないのが難点。

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三島由紀夫 『春の雪―豊饒の海・第一巻― 』 | 新潮社