ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「ありがとう、トニ・エルドマン」マーレン・アーデ

あああ、なんていえばいいんだろう。まさに映画でしか表現しえない「いたたまれないユーモア」によって呼び起こされる感慨。なにかをガムシャラに追い求めることで、いかにまわりの景色を見失っているのか、ということを、ウザく、キモい、イタズラ好きのダメ親父が教えてくれる。その背景にあるヨーロッパの格差社会。様々なシーンで印象的に使われる、時代もジャンルも超えた音楽のセレクト。伝えたいことがありすぎる、162分の大傑作だった。幸せってなんだっけ?哀しくて、切なくて、可笑しくて、温かい。娘役のザンドラ・ヒュラーが父親に無理やり歌わされる、ホイットニー・ヒューストンの「Greatest Love of All」が強く強く胸に沁みる。

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映画『ありがとう、トニ・エルドマン』公式サイト