寺山修司を知ったのは、たしか、高校二年の頃だった。以来、あの美しく、哀しく、強烈な言葉に魅せられ、古本屋で文庫本を買いあさり、ボロボロになるまで貪るように読んだ。そんな彼の小説を、50年以上たった今、舞台を2021年に置き換えて映画化。しかも、前・後篇を合わせ、5時間5分にも及ぶ長編として完成させた、その情熱と執念にただただ頭が下がる。新宿、家出、競馬、売春、そして、ボクシング。まさに寺山ワールド。熾烈にしか生きられない孤独な若者たちの肉体と魂のぶつかり合い。これぞ死闘。凄まじい熱量の菅田将暉とヤン・イクチュンがとにかく素晴らしかった。