ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「狼」新藤兼人

新藤兼人による1955年の作品。貧困が人間をどのように破壊していくのかを緻密に描いたエンターテイメント。それにしても、今や社会派としか紹介されない監督がこんなにも第一級の娯楽作品をインディペンデントで撮った「豊かさ」が、かつての日本映画にあったことが信じられない。そして、戦争の本当の悲劇は、戦争が終わってなお、罪のない普通の人たちの一人ひとりの人生を踏み躙り、破滅させることなのだと改めて痛感する。

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