ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「紙の月」吉田大八

善なるものの悪なる部分と、悪なるものの善なる部分が、曖昧かつ同時に描かれる映画が好きだ。信頼を裏切って他人を欺き、偽造と横領を重ね、欲望のまま贅沢の限りを尽くした人妻に、なぜかどこかで共感してしまう。そこにこそ、この映画の妙がある。「ぼくらの七日間戦争」から16年。じわじわと狂いながら、生気を取り戻すかのように、美しくなっていく主人公を演じた宮沢りえがこの映画のすべてだ。


女性主人公が犯罪を起こす作品を紹介