ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「ひと皿の記憶」四方田犬彦

奥能勢の鮎、出雲の梅干、金沢のクニャラ、上海の鼈、ジャカルタのサテ、ハディージャのクスクス、ボローニャのカツレツ、オスロの鱈、ボルドーの家鴨などなど。日本のグルメブームやフードビジネスとは、まったくかけ離れた場所で「記憶」され、その思い出を手繰り寄せるように綴られたエッセイには、官能的な悦びと、これまで歩んできた人生への郷愁、哀惜が滲み出ている。記憶に残る食こそ本物だ。


筑摩書房 ひと皿の記憶 ─食神、世界をめぐる / 四方田 犬彦 著