ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「汚れなき祈り」クリスチャン・ムンギウ

宗教だろうが、医療だろうが、福祉だろうが、誰かにとっての絶対的な正義の中に、誰かをとことん追い詰める危険が潜んでいる。クリスチャン・ムンギウの恐るべき才能。実際の事件を、静かに、淡々と描きながら、偽善に満ちた社会を痛烈に批判し、覆い隠された人間の性をえぐりだす。人間は生きている限り、誰もが誰かを「加害する」可能性を秘めた危うい存在なのだ。