ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「散り行く花」D・W・グリフィス

サイレント映画の花といわれた女優リリアン・ギッシュ。虐待される父親に強いられるまま、指を広げて口角を上げ、無理矢理につくる少女の笑顔は、さすが映画史に刻まれるだけの哀しみと美しさに満ちている。クローズアップという手法が、偉大な映画監督の、ひとりの女優に対する慈しみ深い情愛から偶然に生まれたというのは、なんとも興味深いエピソードだ。映画という芸術をほぼ形づくったD・W・グリフィスの95年前の古典。映画史をもう一度辿ってみると、映画がまたまた好きになる。