2014-01-08 「小説 永井荷風」小島政二郎 書籍 非難と批評はまったく異なる。対象への敬意のないエセ批評はただの悪口に過ぎない。荷風を「臆病で卑怯で嘘つきで下劣な人」としてボロクソに描きながら、読み手を嫌な気持ちにさせないのは、その一語一語に、異常ともいうべき羨望と、揺るぎない敬愛の念が込められているからだ。これは孤独のうちに死んだ永井荷風への一冊まるごと追悼文のような一風変わった評伝です。 筑摩書房 小説 永井荷風 / 小島 政二郎 著