ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「静かなる決闘」黒澤明

黒澤明の第8作。この作品のモチーフである梅毒をHIVに置き換えると今でも切実な問題として胸に迫ってくる。本作の魅力はなんと言っても、晩年は味のある婆さん役でお馴染みだった、若き日の千石規子の名演技に尽きる。昔の映画を観てつくづく感じるのは、のちに名を成す俳優や女優が、デビュー直後から生々しく確かな痕跡を残しているということだ。