ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「俺の笛を聞け」フローリン・サーバン

ルーマニアが EU で最も貧困な国であることと、同国で胸を突き刺すような傑作が次々に生まれていることは、決して無関係なことではない。映画は社会を映しだす鏡であり、社会は人々の内面に潜在する意識の表われだからだ。誰にも救いを求めることができず、恋愛ひとつままならない主人公の少年のもがきは、ルーマニアの多くの若者たちの叫びでもある。声なき声に耳を傾けて叫びに変える、それが映画だ。