ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「むかしの味」池波正太郎

高級であっても、庶民的であっても、いい店というのは客との関係が五分五分だ。驕ることはもちろん、媚びることもない。そこには、人生をかけてうまいものを提供する店と、そのことに敬意を払い、深く感謝しながらいただく客との、いい意味で緊張感のあるつながりが確実に存在している。そんなことを感じさせてくれる一冊でした。ちなみに、私がクーポンに懐疑的なのは、それが店の真摯な仕事を冒涜し、客の品位を貶めるものであるように思えるからです。


池波正太郎 『むかしの味』 | 新潮社