ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「少年譜」伊集院静


学生時代にした基礎工事のバイトの親方が、仕事中、私に発した言葉は「運べ」というたった一言でした。人間にとって真に身につけるべきは「生きていく強さ」であると思っていますが、無駄な言葉を重ねることなく、そんな大事を教えてくれる大人にそうそう出会えるものではありません。作中の「一人で生きよ。耐えて励め。おまえにはできる」という和尚の台詞には、私たち大人がこれからを生きる子供たちに残すべき「大切なこと」がすべて凝縮されているように感じます。


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