ずっと映画のことを考えている

旧「Editor's Record」(2023.2.28変更)

「en-taxi」Vol.34「伊集院静 狂気の流儀」

あの震災以降、当事者となった伊集院静(彼は自らを「被災者」と呼ぶのを厳しく慎んでいるらしい)はやはり特別な存在となった。そのことは、恐らく本人が一番自覚しており、日本の危険な原発の体制を生んだのは誰であろう自分たちだとした上で、「私は世界一放射能に汚染された国土に生きる覚悟をしよう」とあえて発言した背景には、いつまでたっても覚悟しきれない国や、企業や、国民に対する、強烈なアイロニーと苛立ちが込められていた。そんな彼に重松清が迫ったルポが傑出。少なくとも私には、震災以降の日本で、私たちがどのように生きていくべきなのかを強く示された気がします。


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